「リアルの店舗は百貨店にとって重要な資産。デジタル技術を駆使して顧客のニーズや悩み事を知るための実証実験の場として徹底活用する」。こう話すのは百貨店のそごう・西武の事業デザイン部の楠本博紀シニアオフィサー。同社が挑むデジタル技術を使った事業変革を率いる。

 IoT(インターネット・オブ・シングズ)技術などを使って集めた顧客のデータを活用して、これまでにない新たなサービスを生み出したり顧客体験を改善したりする。第一弾として富士通と共同で、センサーを取り付けたメジャーである「IoTメジャー」を使って採寸した身体データを基にオーダーメードのニットを作るサービスを2018年6月に始める。

 採寸データを店舗間で共有して、他店舗やECサイトの買い物にも役立てることも視野に入れる。顧客のデータを基に売り場の魅力を高めて新規顧客が店舗に足を運ぶきっかけを作り、百貨店を再び人が集まりたくなる場所へと変える。「商品の販売はその先だ」(楠本シニアオフィサー)。

実証実験で使う「FUJITSU Smart Device IoTメジャー」 。 提供は富⼠通デザイン、ハードの製造は富⼠通コンポーネント
(出所:富士通)
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 第一弾のオーダーメードニット制作サービスは西武池袋本店とそごう千葉店ジュンヌに4月に開設するオーダー・カスタマイズ専用売り場「パーソナルオーダー」で提供する。当初は実証実験の位置付けで、2018年度中にそごう横浜店や大宮店などに順次店舗を拡大する。

 新サービスの鍵を握るのが富士通グループが開発した「FUJITSU Smart Device IoTメジャー」。Bluetoothによる近距離無線通信機能と光センサーを内蔵した装置を取り付けたメジャーで、採寸したデータをスマートフォン(スマホ)などのアプリに即座に取り込める。メジャーには表面の目盛りに対応した青、白、黒の3色の模様を裏面に記載。装置の内蔵センサーが模様から測定値を読み取る。そごう・西武の実証実験では読み取ったデータを富士通子会社のPFUが提供する帳票ソフトウエア「BIP Smart」にBluetooth経由で送り、電子帳票内に測定値を自動で取り込む。

IoTメジャーによる実証実験の概要
開始時期2018年6月
場所そごう・西武の店舗内のオーダー・カスタマイズ売り場「パーソナルオーダー」
対象店舗西武池袋本店、そごう千葉店ジュンヌ(2018年度中にそごう横浜店、大宮店、広島店、西武所沢店に拡大予定)
内容IoTメジャーで採寸した計測データを基に、顧客の身体に合った衣類を提供

寸法データでオーダーメード

 そごう・西武は寸法データを使ってオーダーメードの服を提供する。採寸の時間短縮や測り間違いの減少で顧客の満足度向上にもつながると期待する。これまでは伝票に手作業で寸法を書き写しており、顧客を待たせてしまう場面もあった。手作業の場合、一般的に採寸や記入の間違いで寸法を正しく記録できないケースが2割ほどあるとされる。

 まずは女性向けのニットでオーダーメードのサービスを始める。採寸したデータを基に顧客の体に合わせて一着丸ごと立体的に編み上げる「ホールガーメント」技術を使った衣類を提供する。紳士のワイシャツなど対象商品を順次拡大する計画だ。

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