顧客の預かり資産を経営幹部が私的に流用していた。内部監査を実施したことがない。度重なるシステム障害を起こしても根本的対策を取らず、顧客への説明が不十分――。

 コインチェックが多額の仮想通貨を流出させた事件を契機に、金融庁が仮想通貨交換業者への監督を強めたことで業界のずさんな業務運用体制が明らかになっている。

 金融庁は2018年3月8日、みなし業者を含む仮想通貨交換業者への立ち入り検査の結果を踏まえ、コインチェックやテックビューロなど7業者に業務改善命令などの行政処分を下した。

 日本では金融庁に登録を申請中の「みなし業者」を含めて30社余りの交換業者が営業しているが、検査に入ったのはまだこのうちの一部にとどまる。検査がさらに進めば処分を受ける業者がさらに増える可能性がある。

マネロン対策の高額取引確認をせず、1カ月の業務停止

 処分を受けた7業者のうちコインチェックは、流出事件直後の1月末に続いて2度目の業務改善命令だ。システムリスク対応などを対象に改善を命じた前回に対し、今回は経営管理体制や顧客補償の対応などで改善を命じた。

 交換業者の更なるずさんな管理体制が残る6業者の処分から明るみになった。例えば、ビットステーション(名古屋市)は「(会社の)100%株主である経営企画部長が利用者から預かった仮想通貨(ビットコイン)を私的に流用していた」(金融庁の行政処分文書)ことが金融庁の検査で判明した。会社の実質的オーナーが顧客の預かり資産を私的に使い込んでいたのだ。

金融庁が行政処分した仮想通貨交換業者
業者(本社所在地)概要
コインチェック(東京・渋谷)業務改善命令
FSHO(横浜市)1カ月の業務停止、業務改善命令
ビットステーション(名古屋市)1カ月の業務停止、業務改善命令
バイクリメンツ(東京・港)業務改善命令
ミスターエクスチェンジ(福岡市)業務改善命令
テックビューロ(大阪市)業務改善命令
GMOコイン(東京・渋谷)業務改善命令


廃業する方針を決めた交換業者
業者(本社所在地)
ビットステーション(名古屋市)
来夢(三重県鈴鹿市)
ビットエクスプレス(沖縄県那覇市)



 FSHOは資金洗浄対策や顧客保護の体制などで失格の烙印を押された。高額な仮想通貨の複数回の売買で業者に義務付けられている取引時確認を行っていなかったほか、職員向けの研修を長期にわたり実施していないなど規定通りに業務を遂行する体制になかったという。

 ビットステーションとFSHOの2社は特に問題が大きいとして、金融庁は業務改善命令に加えて、1カ月間の業務停止を命じた。

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら

日経 xTECH SPECIAL

経営

クラウド

運用管理

サーバー/ストレージ

ネットワーク/通信サービス

セキュリティ

もっと見る