川崎重工業企画本部情報企画部システム企画課基幹職の三島裕太郎氏

 IoTやAIを活用するための情報基盤をどう整備すればいいのか――。多くの企業が直面する問題だ。その解決のヒントになりそうなのが川崎重工業の取り組みである。同社では、本社組織のIT部門が使いやすい情報基盤をPaaS(Platform as a Service)の形で事業部門に提供し、現場のIoT/AI活用を支援している。

 この取り組みを主導した同社企画本部情報企画部システム企画課基幹職の三島裕太郎氏が「FACTORY 2018 Spring 東京」(2018年2月20~21日)の基調講演に登壇し、詳細を語った。

規格量産型から個別受注型まで多様な業態

 三島氏によれば、製造業においてIoT/AI活用の“バックボーン”になるのは、製品情報をライフサイクル全体で一元管理するPLM(Product Lifecycle Management)システムだという。例えば、3DデータやBOM(Bill of Materials、部品表)といった既存の製品情報に、IoTで集めた稼働データを組み合わせれば、現実世界のモノや出来事をデジタル世界で再現する「デジタルツイン」が可能になる。さらに、それらのデータをAIで分析すれば、予知保全などの高度なサービスを提供したり、次期製品の開発にフィードバックしたりできる。

IoT/AI活用の“バックボーン”としてのPLM
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 川崎重工業は、各事業部門が独立採算で運営する社内カンパニー制を採用している。以前は、PLMのようなエンジニアリング業務と密接に関わるシステムについては各カンパニーがそれぞれの製品に合わせて独自に選定・採用していた。

 一口に製造業といっても、同じ製品を大量に生産・販売する企画量産型から、顧客の要求に応じて都度設計・生産する個別受注型まで、事業形態はさまざまだ。川崎重工業も、企画量産型の2輪車、個別受注型の鉄道車両や船舶、そして両者の中間的な性質を持つ産業用ロボットや油圧機器と、多様な事業が存在する。IoTなど影も形もなく、製品自体の機能や性能がすべてだった時代は、カンパニーごとに最適な業務システムを採用するのが合理的だった。

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