日本ではあまりなじみのない化粧品会社の米タルト。だが、Instagram(インスタグラム)をのぞいてみれば、その認知度は群を抜いていることが分かる。現在、タルトのインスタグラムのフォロワー数は760万人。この数は他の化粧品会社を圧倒する。米大手化粧品ブランドのエスティーローダーは230万人、資生堂の「クレ・ド・ポーボーテ」は74万人。大手百貨店担当者が「デジタルマーケティングに長けている企業」と評するイブサンローランでさえ360万人だ。

 そのタルトを2014年に買収したのが化粧品会社コーセーだ。タルトは1999年の設立。果物などから抽出した天然由来成分を配合しながらも、色調豊かなパッケージを採用するなど、特徴を打ち出したことでファンを増やした。口紅やファンデーションなどのメーキャップ化粧品を主力とし、北米や東南アジアなどで化粧品専門店「セフォラ」を中心に約2500店以上の小売店で取り扱いがある。主力商品の価格帯は3000~4000円だ。

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天然由来成分採用の化粧品ながら、華やかなデザインなどが人気を博す米タルトの商品群(写真提供:米タルト)

 コーセーは2018年2月16日に同社のコスメブランド「Awake」をリニューアルし、販売を開始した。Awakeはタルトの創業者であるモーリーン・ケリー氏が元々愛用していたブランド。コーセーの小林一俊社長がM&A(買収・合併)を決める際にモーリーン氏と意気投合した理由の1つでもある。そのAwakeのリニューアルでブランドマネージャーとクリエイティブディレクターを担うのがタルトの人間だ。コーセーは20年以上の歴史がある自社ブランドを買収先の人間に任せるという大きな判断をした。

コーセーはタルトの人材をトップに据え「Awake」のリブランドに取り組んだ(写真提供:コーセー)
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 コーセーが同社を買収して以降、タルトの業績は右肩上がりだ。コーセーの業績を支える「孝行娘」とまで評された。コーセーは2018年3月期の売上高を第2四半期決算で上方修正。インバウンドによる売り上げ好調以外に、引き続きタルトの貢献が光る。2018年1月31日に発表したコーセーの第3四半期累計の売上高は2235億6600万円、そのうちタルト単体の売上高は297億円となり、1割を超えている。

 コーセーはタルト買収後、タルトに社員を派遣した。買収した企業に落下傘で役員を派遣することはあるが、コーセーは逆に社員を派遣した。なぜか。タルトはインスタグラムを中心にSNSでのマーケティングを成功させている企業。日本国内の化粧品会社でまだ成功者と呼べる企業がいない中、コーセーより規模の小さな会社に「勉強させてもらう」(コーセーの小林社長)という姿勢で社員を派遣している。

 タルトはソーシャルメディアをどのように使ってファンを増やしているのか。

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