前回に続き、「部下の文章力をどう上げればよいのか」というマネジャーのお悩みを取り上げます。今回は、誤字脱字にまつわるものです。

 回答するのは、SEをはじめ技術の現場で働く人を対象に文章作成の指導をしている豊田倫子氏です。

相談:誤字脱字が多い文章を書く部下の指導法は?

 部下が書く文章の誤字脱字が多くて困っています。上司である私もチェックしていますが、さすがに査読ばかりに時間をかけるわけにはいきません。
 ただし私自身、注意深く確認する以外に具体的な方策を示せないのが現実です。私からは、「しっかり確認しましょう」と言うくらいしかできていません。誤字脱字を減らすために、何か助言できることはありませんか。

 誤字脱字をゼロにする王道は、残念ながらありません。しかし、ゼロにはできないまでも、減らすテクニックはいくつかあります。今回は3つ、ご紹介します。

 1つめは、ワープロソフトの校閲機能を使うことです。Wordや一太郎といったワープロソフトには、校閲機能が付いています。例えばWord 2019の場合、「校閲」メニューにある「スペルチェックと文章校正」を選びます。すると、表記揺れや誤字脱字をある程度は自動的に発見できます。オプションで、チェック内容の詳細設定もできます。部下の方は、この機能を知らないかもしれません。こうした機能を使って誤りを正したあとに書類を提出するよう、指導してみてはいかがでしょう。

 2つめは、文章を逆から読ませることです。厳密にいうと、段落または1文ごとに、末尾から読んでいきます。誤字脱字を見過ごすケースで多いのが、「読んだつもり」になることです。文頭から読むと文意が分かってしまうため、無意識に途中の文章をスキップしてしまいがちです。一方、文章を逆から読む(文末のブロックから順番に読む)と、文の前後関係が崩れるため文中の誤字脱字の発見に集中できます。

 3つめは、チェックしたら蛍光ペンなどでマーキングさせることです。文章全体ではなく、固有名詞や数字など重要な情報についてだけ適用するとよいでしょう。部下にチェックしたことのエビデンス(証拠)を残させることで、チェックの意識を高めていきます。もし、マーキングしているのに間違っていたとしたら、中途半端にチェックしたことの証にもなります。そのときは、厳しく指導しましょう。

 ほかにも、カラーの資料を白黒コピーしてからチェックする(色やデザインにごまかされないようにする)、文章を書いた机ではなく違う場所でチェックする(環境を変えることでチェック意識を高める)、といったテクニックもあります。部下の皆さんから、アイデアを集めてみるのも楽しいかもしれません。

豊田 倫子
コンピュータハウス ザ・ミクロ東京
豊田 倫子 ヘルプデスクや検証技術者などを経て、約20年前から教育サービスに携わる。新入社員研修やリーダー研修、マネジャー研修などの企画コンサルティングや教材開発、研修講師、研修運営などを担当する。人材育成研修の受講生は延べ7万人。特に人気の研修が、本セミナーのベースとなっている文章力研修で、これまでに約5000人の文章を指導してきた。日経 xTECH ラーニングの人気セミナー「伝わる文章の査読・指導スキル養成講座」の講師を務める。
出典:2016/02/12公開 ITpro「イラッとくる文章を書く部下の指導法」を基に再構成
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。