電力ケーブルの納まりをBIMモデルで検討

 トンネルに収納する電力ケーブルは幹線用のものなので、柔軟に曲げられるようなものではない。配管やダクトと同様に、あらかじめしっかりと納まりを検討しておく必要がある。また、将来のケーブル増設に備えて、作業スペースなども考慮しておく必要がある。

 そこで西松建設は、トンネルや立て坑、電力ケーブルを精密にBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)モデル化し、複雑に入り組む電力ケーブル同士やケーブルと立て坑などとの干渉をチェックした。

 立て坑とトンネルの接続部は、その中でも最も納まり条件が厳しい。電力ケーブルには曲げられる限界の半径があるため、立て坑とトンネルが直角に接続する部分は、特にスペースに限りがあるからだ。西松建設はBIMモデルで干渉チェックなどを行いながら、ケーブルの納まりを検討した。

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電力ケーブルの納まりや完成後の維持管理をBIMモデルで検討した(資料:西松建設)

 掘削が終了した区間では、仕上げ工事や設備工事が着々と進んでいる。トンネルの頂部には、天井走行クレーン用のレールが常設されているほか、トンネルの床部分には車両の走行路となるプレキャスト製のPCトラフが設けられている。

 将来のメンテナンスを省力化するための設備を、設計・施工段階からあらかじめ考慮し、用意しているところに、土木インフラのライフサイクル全体をにらんだシンガポールの生産性向上戦略が感じられた。

維持管理用に、天井走行クレーンのレールと点検車用のプレキャストトラフが設置されたトンネル内部、両側の円弧状の金具にはケーブルラックが取り付けられる(写真:家入龍太)
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家入龍太(いえいり・りょうた)
家入龍太(いえいり・りょうた) 1985年、京都大学大学院を修了し日本鋼管(現・JFE)入社。1989年、日経BP社に入社。 日経コンストラクション副編集長やケンプラッツ初代編集長などを務め、2010年、フリーランスの建設ITジャーナリストに。 IT活用による建設産業の成長戦略を追求している。 公式ブログ「建設ITワールド」を運営。 著書に「CIMが2時間でわかる本」(日経BP社)、「図解入門 よくわかるBIMの基本と仕組み」(秀和システム)など。