働き方改革は今や、就職活動中の学生にとって大きな関心事だ。人手が足りない中でも快適な環境で若手を育てるすべは、組織を挙げた「チームプレー」だ。3つのポイントに分けて、若手の育成に熱心を会社の取り組みを紹介するとともに、会社や業態の垣根を越えて業界活性化に取り組む若手技術者の挑戦を追った。

東洋建設 現場の若手を全社でフォロー

 低熱ポルトランドセメントを説明するには、用途としてマスコンクリートに使われることを書いた方がいい。低熱なら締め固めが不要というのは間違いだ──。

 若手が書いた答案用紙に、赤ペンの指摘が容赦なく入る。東洋建設が入社1~3年目の若手を対象に実施している通信教育だ。

■ 容赦ない赤ペン添削
添削を受ける若手と先生役の先輩とのペアは3年間、異動しても変わらない(資料:東洋建設)
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 添削の先生は、主に配属先の20歳代後半から30歳代の先輩社員が務める。工事現場は1年ほどでどんどん入れ替わるので、そのうち若手と先生とが別々の現場に分かれてしまうケースもある。「それでも3年間は責任を持って同じペアでやってもらう」と同社経営企画部の北村健部長は話す。

 若手は3カ月に1回ほどのペースで添削を受ける。問題は本社の土木技術部が作成。コンクリートや土質、水理、仮設など、学校で習う基礎知識から現場ですぐに応用できる計算問題まで網羅する。

 さらに、会社は教材として各分野の参考図書を若手1人当たり10冊ほど支給する。添削問題には「分からなければ本の20ページを見て」といったアドバイスも付く。

 東洋建設が若手の教育にこれほど至れり尽くせりなのはなぜか。

 多くの建設会社にとって、若手の先輩に当たる今の30歳代は、採用を絞っていた谷間の世代。若手が気軽に質問できる相手がいない現場は多い。「こうした若手を全社でフォローするのが狙いだ」(北村部長)。

 また、海洋土木を得意とする同社では、作業船を使った浚渫(しゅんせつ)工事などコンクリートを全く使わない現場も珍しくない。これではコンクリート工事を施工管理する技術が身に付かない。通信教育で知識の偏りをなくす効果も期待する。

 4年ほど前から始めた通信教育の成果は着実に上がっている。

 例えば、最短で3年の実務経験があれば受けられる1級土木施工管理技士の学科試験の合格率は90%台に上昇。入社3年後の若手の離職率は1割ほどに低下した。