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 座談会第10回に登場するのは、以下の6人(五十音順)。石田哲也・東京大学大学院工学系研究科教授(聞き手)、河野広隆・京都大学大学院工学研究科教授、坂田昇・鹿島土木管理本部土木技術部長、細田暁・横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院准教授、堀田昌英・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授、三田淳・元群馬県職員(オブザーバー)。

右から石田哲也・東京大学大学院工学系研究科教授、河野広隆・京都大学大学院工学研究科教授、坂田昇・鹿島土木管理本部土木技術部長(写真:横浜国立大学)
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河野:塩害が1983年ぐらいから大きな問題になってきた時に、当時の建設省東北地方建設局は5%から10%程度のコストを上乗せしてでも、塩害対策を実施しました。それ以降、塩害地域は5%や10%のコストアップで橋を造り続けているのに、なぜ今回の床版の高耐久化ができないのかが不思議です。

堀田:塩害対策を施したことで、イニシャルコストに対して維持管理コストがどのくらい減ったかというのがデータで見れば、如実にライフサイクルコスト(LCC)の差が分かると思います。

河野:細かいデータは出さなくても、暮坪橋(山形県鶴岡市)は30年しか持たなかったじゃないですか。それが、建設初期に5%、10%コストをアップすれば100年は持つ。それとも、暮坪橋のように更新を繰り返してイニシャルコストの3倍でいくのか。

 先ほどの佐藤さんのデータ(初期に高耐久化すればイニシャルコストは26%アップ、従来の劣化して撤去された構造物のライフサイクルコストはイニシャルコストの4倍)さえあれば、会計検査は十分に説得できます。

坂田:こういうデータをオープンにしてもらうことや、それを学と一緒に説明することが必要ですね。

細田:このデータは公開されています。「新設コンクリート革命」にも書いてありますし。

河野:これを予測される寿命で割れば、1年当たりのLCCは出せます。

 関連する話で、先週、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の推進会議があって開始から3年がたったので、途中で一回レビューしたのです。その時に出たのが、「せっかく新しい技術を開発しても、国交省が使ってくれない」という話題です。

 いくら技術開発しても新技術が使われなければ、どうしたらよいのか。そのときに国交省OBの方が、「30年前や40年前は事務所長が新技術にトライしていたが、今の状況だと期待しても駄目なので、新しい工事に新しい技術を使うというシステムを導入しないと無理だろう」という話をしていました。

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