選択科目に関する「専門知識と応用能力」を問う論文は、2015年度も14年度や13年度と同様に、2時間で600字詰め用紙4枚以内に記述する形でした。時間が足りなくて十分に書ききれなかった受験者は、15年度も珍しくなかったようです。

 出題形式にも変化はなく、主に専門知識を問うII-1は四つの設問から2問を選び、それぞれ1枚以内にまとめる問題。もう一つの主に応用能力が求められるII-2は、二つの設問のうちの1問に2枚以内で解答するものでした。

応用能力を問うII-2の難度が高まる

 II-1は基本的な専門知識について尋ねる問題が中心です。知識とはいえ、14年度は留意点など具体的な内容まで述べる設問が多く、実務経験の有無が大きく影響する科目も見られました。一方、15年度は定義や概要を述べる程度にとどめた設問が増えてきたのが特徴です。テーマもほとんどがオーソドックスで、「想定内」と呼べるものです。

 「鋼構造及びコンクリート」のコンクリートでも、留意点について記述する設問が減ったうえに、4問のうちの3問が「設計または施工」のどちらかを選べるよう配慮されています。他の科目でも概要や特徴について説明するものが多くを占めるようになり、「トンネル」のように技術士第一次試験のレベルとも言える内容の設問も少なくありませんでした。

 各設問のレベルが浅くなっただけでなく、答える内容もイメージしやすくなっています。例えば「土質及び基礎」のII-1-2では擁壁の安定性がテーマですが、様々な擁壁のタイプの中でも比較的解きやすい重力式擁壁を対象としています。

 もう一つの記述式であるⅢの課題解決能力を問う論文で出題されたテーマが、翌年度に応用能力を問うⅡ-2で出題され、さらにⅡ-1の専門知識のテーマへと変わってきたケースも見られました。

 「道路」では、13年度のⅢで維持管理について出題された後、14年度により具体的な内容を問うⅡ-2でメンテナンスサイクルがテーマになりました。そして、15年度はⅡ-1で同じテーマが取り上げられています。施策の運用が進んでルールとして定着してきたことから、応用能力ではなく知識として問われるようになったと推察されます。

 施策が進展して予算も増え、法律や基準などが整ってくれば、このようなケースは他の科目でも今後、出てきそうです。国の施策の動向をチェックしておきましょう。

 各選択科目の専門知識をシンプルに尋ねる設問が増えたII-1に比べ、II-2は総じて難しくなってきたようです。14年度にも増して具体的な条件や図を示すなど、受験者の応用能力を確かめる傾向が強まっています。

 例えば、「土質及び基礎」では具体的な図を基にした設問が定着し、該当する実務を経験していない受験者にとっては難しい内容になってきました。図示されてはいませんが、「施工計画、施工設備及び積算」も詳細な条件を読み取る内容です。

 一方、広範囲の分野について記述するよう求める科目も見られます。災害復旧をテーマとした「河川、砂防及び海岸・海洋」のII-2-2では、「河川」と「砂防」、「海岸」の三つの分野すべてについて述べる必要があります。

 さらに「トンネル」では、答案用紙に図を描いて解答する問題が初めて出題されました。設問の内容は標準的ですが、戸惑った受験者は少なくなかったようです。「港湾及び空港」でも1枚の答案用紙にまとめるⅡ-1で、図を交えて示すよう求めています。恐らくこれも、初めてのケースと思われます。

 以下では「都市及び地方計画」の15年度の出題内容について、もう少し詳しくみていきます。

応用能力は2問とも大都市が対象

 II-1の4問は都市計画法に基づく制度、景観と建築物の規制・誘導、都市交通に関する手法、都市の低炭素化と緑化について、それぞれ概要や特徴などを述べる内容です。留意点などの具体的な記述は14年度と同様に不要で、簡単になった印象を受けます。

 13年度と14年度に続いて法制度や交通、緑地の分野から出題されており、テーマはいずれも「都市及び地方計画」の科目では一般的なものです。例えばII-1-3のデマンド交通やBRT、TDMは昨今の都市交通の手法では常識と言えます。国土交通白書2014でも説明しています。

 II-1-2では14年度と同じく建築物の規制・誘導について取り上げています。14年度は建築協定など三つの仕組みが指定されましたが、15年度は「景観の形成」と示されただけですので、書きやすかったと思われます。

 2問から1問を選ぶII-2は、2問とも三つの小問に分かれており、いずれも(1)と(2)では主に専門知識が、(3)の「留意すべき事項」で応用能力がそれぞれ問われています。(2)の小問は、13年度や14年度と同様にいずれも手順を記述する形です。この傾向は16年度も続きそうです。

 出題テーマは、大街区化と防災です。図を交えて問われた14年度に比べればいずれも簡単な内容で、都心部の大街区化や都市の防災計画に携わった経験があれば、実務の内容をほぼそのまま書けばよいでしょう。応用能力が必要な「留意すべき事項」も具体的な内容が問われているわけではなく、経験者にとっては記述しやすかったはずです。

 ただし、II-2は2問とも大都市やその近郊を対象としており、出題内容に偏りが見られます。「担当責任者」としても述べる必要があることから、地方都市の計画を専門とする受験者は難しいと感じたかもしれません。応用能力を発揮して論述しなければなりません。

 大街区化や都市の防災は国土交通白書2014に背景などが記載されています。II-1の専門知識への対応も含め、「都市及び地方計画」のような計画系の科目では、最新の白書に目を通しておくことも大切です。

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