選択科目に関する「専門知識と応用能力」を問う論文は、2016年度も15年度までと同様に、2時間で600字詰め用紙4枚以内に記述する形でした。出題数が少ないことから、選択するのに苦労した受験者は16年度も珍しくなかったようです。

 出題形式にも変化はなく、主に専門知識を問うII-1は四つの設問から2問を選び、それぞれ1枚以内にまとめる問題。もう一つの主に応用能力が求められるII-2は、二つの設問のうちの1問に2枚以内で解答するものでした。

2問を選択しづらくなった科目も

 15年度のII-1は定義や概要を述べる程度にとどめた科目が多く、テーマもほとんどが標準的でした。16年度は留意点まで述べる設問が増えましたが、14年度のように実務経験まで踏まえて記述するものは少なく、15年度と同様に基本的な専門知識を尋ねる内容が中心でした。

 基本的な知識が中心とはいえ、II-1では出題内容が広範囲にわたっています。その選択科目が対象とする分野から幅広く出題した結果、受験者の専門性から逆に選択できる問題が限られ、2問を選ぶのが以前にも増して難しくなってきた科目がみられます。

 例えば「河川、砂防及び海岸・海洋」では、砂防や海岸・海洋を専門とする受験者が2問を選びづらい傾向が続いています。さらに、16年度に河川の分野から出題された2問のうちの一つは、一級河川の総合的な管理がテーマでした。河川計画の中でも上位に位置するもので、行政の担当者が主に担う業務です。

 もう一つの「流水型ダム」も、実務を経験していないと解きにくいテーマです。河川を専門とする建設コンサルタントの受験者は、2問を選ぶのに苦労したかもしれません。

 「鋼構造及びコンクリート」のコンクリートでは、4問のうちの2問が水中不分離性コンクリートと梁の脆性破壊がテーマでした。いずれもコンクリートのこれまでの出題傾向を踏まえるとやや特殊な設問で、2問の選択に戸惑った受験者は多かったと思われます。

 「都市及び地方計画」も概要などを述べる程度にとどめていますが、4問のうちの3問が多くの受験者にとってなじみのない制度や法律でした。

 このような傾向は17年度も続くと考え、自身の専門分野からもう少し範囲を広げ、関連する周辺分野の知識も習得しておきましょう。

半数の科目が施工の知識も求める

 II-2は、実務で経験していなくても応用能力を発揮して解答する問題が増えてきました。「都市及び地方計画」のII-2-2は、最近ではあまり例のない新駅の開発と市街地整備の計画がテーマです。「土質及び基礎」のII-2-1で示された近接施工の条件や「鋼構造及びコンクリート」のII-2-3で取り上げた供試体の強度不足も、実際に経験した受験者は少なく、まれなケースと言えます。

 さらに、計画や設計のノウハウだけでは十分に解答できない設問も定着してきたようです。「施工計画、施工設備及び積算」を除く建設部門の10科目のうち、15年度とほぼ同じ半分程度の科目が施工の知識も求めています。

 例えば、「土質及び基礎」のII-2-2や「鋼構造及びコンクリート」のII-2-4では設計・施工上の留意点について述べる必要があります。「道路」のII-2-2や「トンネル」のII-2-1は近接施工がテーマです。いずれも施工のノウハウを理解していなければ、解答は難しいでしょう。建設コンサルタントの受験者にとっては選択しづらい問題です。

 一方、「施工計画、施工設備及び積算」や「建設環境」のII-2は、いずれも15年度から一転して、書きやすくなりました。その科目では定番のテーマから出題されており、設問の内容も標準的なレベルです。15年度の合格率が前年度から大きく低下したことが、影響しているのかもしれません。ただし、17年度以降もこのような容易な設問が続くとは限りません。

 先述のII-1の内容も踏まえると、IIでは幅広い専門知識が求められる傾向にあり、未経験の事業などを題材として応用能力が問われる設問も増えつつあります。まずは過去問題から出題の範囲や重要なテーマを確認し、選択科目に関連する時事的な話題を併せて押さえておきましょう。

 以下では「施工計画、施工設備及び積算」の16年度の出題内容について、もう少し詳しくみていきます。

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