住宅メーカーが軽視しがちな温熱環境

 大学卒業後、私は住宅メーカーに就職しました。ですから、住宅メーカーの内情をよく知っています。多くの住宅メーカーは上記のうち、(2)と(3)に注力しています。ところが(1)については、(2)や(3)に比べて力が入っていませんでした。

 しかし、この数年の間に省エネ住宅を取り巻く状況は大きく変わりました。高性能樹脂窓の普及率が大きく伸び、「パッシブデザイン」という言葉が住宅業界で普通に使われるようになっています。さらに、規制緩和によって、家庭で購入する電力やガスの供給者を選べるようにもなりました。

 断熱性能に見向きもしなかった意匠系の建築設計者が断熱に取り組むようになり、高断熱を大きな売りにしてきた工務店は、設計力を向上させなければ住宅が売れない時代になりつつあるのです。

 冒頭で示したように販売棟数を伸ばしてきた一条工務店。その大きな特徴は、大手住宅メーカーのなかでも圧倒的な断熱性能を誇りながら比較的価格が安いという点です。

 一条工務店は最初に示した3つの項目を全て満たす住宅を建てています。そして、10kW以上の容量を持つ太陽光発電を設置して発電後の収益で設置費用を賄う仕組みを採用し、建て主が設備を導入しやすくしています。

 同社は建材の8割以上をフィリピンの自社工場で製造しており、非常に高い性能を安いコストで実現。高い費用対効果を実現しているのです。売れるのは至極当たり前と言えるでしょう。高い断熱性能を持つ住宅は、燃費のよい車のようなものです。