繰り返しの地震に対する筋かいの性能を、筋かい端部金物別に比べた初の実験が行われ、石こうボードで拘束した場合は金物の違いによる有意な差が見られない結果となった。

 熊本地震では、「柱付けタイプ」の筋かい端部金物を使用した筋かいで、通常の試験ではあまり起こらない壊れ方が複数の住宅で見つかった。同金物は柱だけに筋かいをつなぐL字形の部材だ。

 見つかったのは、筋かい端部金物を取り付けた柱が引き抜け、柱のホゾが壊れたほか、筋かいがねじれるといった現象だ(日経ホームビルダー2016年9月号の特集「震度7でも住める家」の「施工ミスと金物の選定に注意」参照)。

柱付け金物を取り付けた筋かいに引っ張り方向の力が加わり、柱が引き抜けてホールダウン金物が外れた。さらに、圧縮方向にも力が加わり、柱のほぞと土台が破壊したと思われる。赤丸で囲ったのが柱付けタイプの筋かい端部金物(写真:グランデータ)
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 そこで京都大学生存圏研究所の五十田博教授は、柱付けタイプなど3種類の筋かい端部金物を取り付けた筋かいに、地震波を4回続けて入力する振動台実験を、2017年2月に防災科学技術研究所(茨城県つくば市)で実施した。

振動台実験の装置。5つの試験体を同時に加振した(写真:五十田博)
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 試験体は計5種類用意した。45×90mmの2つ割り片筋かいに、柱付けタイプであるL字形の筋かい端部金物を取り付けたものが2体、筋かいを柱だけでなく土台にもつなぐ「ボックスタイプ」を用いたものが2体、同じく筋かいを柱と土台につなぐ「プレートタイプ」を用いたものが1体だ。柱付けタイプとボックスタイプは壁の内側に取り付ける、プレートタイプは壁の外側に取り付ける、という違いもある。

柱付けタイプの筋かい端部金物の施工例。壁の内側に金物を取り付け、筋かいを柱だけに固定する。写真は実験の試験体とは異なる(写真:金井工務店)
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ボックスタイプの筋かい端部金物の施工例。壁の内側に金物を取り付け、筋かいを柱と土台に固定する。写真は実験の試験体とは異なる(写真:金井工務店)
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プレートタイプの筋かい端部金物の施工例。壁の外側に金物を取り付け、筋かいを柱と土台に固定する。ZマークのBP-2が代表例。写真は実験の試験体とは異なる(写真:金井工務店)
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 5体とも筋かい部に内装仕上げを施した想定で、石こうボードを準耐力仕様で張った。筋かいが石こうボードで拘束された状態で、筋かい端部金物による変形量の違いを検証するためだ。

 加振は4回繰り返した。1回目が建築基準法上の極めてまれな地震に相当する人工地震波(BSL)を20%にしたもの、2回目が阪神・淡路大震災で神戸海洋気象台が観測したJMA神戸波の70%、3回目が前述のBSLの50%、4回目が熊本地震の益城町宮園地区で観測された本震の50%だ。

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