空き家率全国1位の山梨県。その県庁所在地である甲府市で、空き物件をリノベーションして魅力的な賃貸物件として再生するビジネスに取り組む組織がある。共同事業体「ゆたかな不動産」だ。不動産会社、工務店、設計事務所の専門家が、アイデアを出し合って物件の市場価値を高める。ストック活用ビジネスの拡大を啓発する価値総合研究所の小沢理市郎・主席研究員がリポートする。


 全国には空き家が約820万戸あり、その約52%が賃貸住宅である(2013年度の住宅・土地統計調査より)。賃貸住宅流通の分野でも、工務店のビジネスチャンスが眠っている。だが、工務店は賃貸住宅のオーナーとのつながりが薄いため、単独でビジネスを展開するのは難しい。今回リポートする「ゆたかな不動産」は、工務店が地域の賃貸管理会社、建築家、プランナーなどとコラボレーションすることにより、賃貸住宅市場で新たなビジネスチャンスを掘り起こしている事例だ。

 「ゆたかな不動産」は、不動産事業者、建築家、工務店などの若手からなるフレッシュな共同事業体である。山梨の空き家・空き店舗の再生プロジェクトを進めている。それも、賃貸物件が中心なのである。

ゆたかな不動産のメンバー。左から、丸正渡辺工務所の和田邦裕氏、設計事務所・PRIME KOFU代表の鯉淵崇臣氏、不動産会社・VivitBase代表取締役の武原麻耶氏、企画・制作会社・DEPOT代表取締役の宮川史織氏、VivitBase専務取締役の武原勇太氏。写真の5名ほかに、丸正渡辺工務所の副社長・渡辺正博氏がメンバーである(写真:ゆたかな不動産)
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ゆたかな不動産の活動拠点であるVivitBase(写真:ゆたかな不動産)
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 賃貸物件の仲介・管理を得意とするVivitBase代表取締役の武原麻耶氏を中心に、同社専務取締役の武原勇太氏、丸正渡辺工務所の副社長・渡辺正博氏と和田邦裕氏、設計事務所であるPRIME KOFU代表の鯉淵崇臣氏、建築の企画・制作を手掛けるDEPOT代表取締役の宮川史織氏が参加する。

 不動産事業者である武原氏は、主にプロジェクトの対象となる物件の発掘と再生後の媒介・管理業務を担当。建築家である鯉淵氏は再生プラン、丸正渡辺工務所は内装工事、企画・制作会社である宮川氏はプロモーションを担う。

 この4社でどのような不動産ストックビジネスを展開しているのか。プロジェクトのおおよその流れはこうだ。

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