2020年に向けて変貌中の銀座の街に「ミキモト銀座4丁目本店」が6月1日オープンした。海のきらめきを表現した3万8000個のガラスピースは、安全性やメンテナンス性、風圧などを踏まえたもの。「各建物が高レベルで競い合うと銀座のブランド力につながる」と外装デザインを手掛けた内藤廣氏はみる。

 世界初の真珠養殖成功で知られるミキモトは、銀座4丁目に1906年から店を構える。74年に完成した黒御影石張りの重厚な本店の建て替えに当たりコンペが行われ、設計・施工は鹿島、外装デザインは内藤廣建築設計事務所(東京都千代田区)がそれぞれ担当することになった。

 建物は地下2階・地上12階建てで、1~8階はミキモトの店舗、上階は事務所に充てた。地下には老舗レストランの「レカン」が入る。

 「コンぺ時にデザインを考えながら銀座通りを歩いていると、斜めの光が差してきた。この光を建築ですくい取る方法が浮かんだ」と内藤廣建築設計事務所の内藤廣代表は語る。

 「同時に、ミキモト真珠島に近い『海の博物館』(三重県鳥羽市、1992年竣工)の現場に通っていたとき、近鉄線から見たキラキラと光る春の海の美しい光景、『なんでなんでひかる。なかに真珠があるからよ』という金子みすゞの詩が頭に浮かんだ」

 輝く海のイメージを、市松状に小さなガラスピースを配置したファサードに置き換えて提案した〔写真1、2〕。

〔写真1〕キラキラと光る春の海が原風景
銀座通りに面するファサードは、約3万8000個のガラスピースがキラキラと光彩を放つ。通りに面する低層部の開口「アーバンショーウインドー」は、街に対する開放性を示す(写真:吉田 誠)
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〔写真2〕銀座通りに面したファサード
地区計画(建物高さ56m+屋上工作物10mを上限)に従った高さ約62.5mのファサード。7階までは、既存の31mの高さを踏襲した開口を設け、旧本店のエントランスの記憶を継承(写真:吉田 誠)
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 「相当な数のガラスピースを、風雨に耐える安全な外装にするには多角的な検討が必要で、緊張感を覚えたが、ぜひ実現したいと思った」と、鹿島建築設計本部の上岡修グループリーダーは振り返る。

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