今年4月から、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)に伴って省エネ基準の適合義務や届け出などの規制的措置が始まった。スタート時の対象は延べ面積2000m2以上の非住宅建築物だが、2020年までを目標に、住宅を含めて対象は段階的に拡大する。設計者の目にはともすると、省エネを巡る制度動向が一種の“制約”と映りがち。しかし国策としてだけでなく、住宅建て主の省エネ性能に関するニーズは着実に高まっている。「省エネ」を制約ではなく、一歩先んじて住宅設計の可能性を広げる道しるべとして捉える──。こうした視点から、先進的な取り組みに挑む設計者の事例などを紹介する。

大阪府や兵庫県で木の家づくりを手掛ける地域工務店が集まり、2016年6月から17年1月まで神戸市北区で開催したモデル住宅の展示会「里山住宅博 in KOBE 2016」。展示期間後に各物件を販売するプロジェクトであり、建築家の堀部安嗣氏(「数値と体感の一致、そこに楽しさ」のインタビューを参照)は大阪府大東市の工務店ダイシンビルドと組んで、「これからの家」と名付けた高機能省エネ住宅モデルをまとめた。写真で高台に並ぶ住宅群のうち、中央付近に見える茶系色の物件がそれ。左手方向に広がる緑地は建物の北西側だが、その眺望が楽しめるようにあえて大開口を設けている。外皮性能など省エネ住宅としての機能を満たすからこそ可能な意匠であり、設計上の選択肢を広げたといえる(写真:生田 将人)
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出典:2017年6月8日 30~31 特集 省エネ義務化を追い風に
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