京都市内に事務所を構える木村松本建築設計事務所代表の木村吉成氏は、窓も建築の構成要素として重視し、組み立て手順まで考えながら設計を進める。原寸図を自ら描くなど、深い知識がそれを支える。(日経アーキテクチュア)

ともに木村松本建築設計事務所代表の木村吉成氏(右手)と松本尚子氏。手前が「house A / shop B」の模型。略歴は以下の通り。きむら よしなり:1973年和歌山県生まれ。96年大阪芸術大学卒業。狩野忠正建築研究所を経て2003年木村松本建築設計事務所を共同設立 まつもと なおこ: 1975年京都府生まれ。97年大阪芸術大学卒業(写真:日経アーキテクチュア)
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 木村松本建築設計事務所の木村吉成氏が開口部など建築部位の組み立て方で影響を受けたのは、カール-ヴィゴ・ホルムバック(1958年生まれ)というノルウェーの建築家だ。なかでも、「Private Library」と呼ぶ建築の窓や扉が好きで、その記事が載った建築雑誌「a+u」は常に手元に置いてあるという。

 Private Libraryの特徴はプレーンな部屋の中にまるで家具を置くように扉や窓が独立して配置されていること。特に扉は、その枠が本棚と同じ高さと奥行きを持っているので独特の存在感を放っている。「建築を構成する要素が溶け合った状態をつくるのではなく、部位ごとに分かれている状態をつくりたい」と木村氏。

 また、緊張感のない空間に憧れがあり、ものがばらばらにある状態、ごちゃごちゃに置かれている状態が好きだという。その感覚は、「線が少なく、見付け寸法が小さいから美しい」といった一般的な建築の作法や審美性をそのまま受け入れるのではなく、「どうしてそうなったのかという前提にまで遡って考える」という設計姿勢にもつながっている。

 開口部で言えば、壁をくり抜いて窓をつくるのではなく、窓も建築を構成する要素の1つとして、その組み立て手順も含めて考えている。

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