建物に高い省エネ性能を求める法規制を段階的に強化してきたドイツ。規制強化とともに拡充される支援制度が省エネ建材の市場を形成してきた。開口部などで日本でも参考になりそうな省エネ建材が生まれている。

 ドイツの建築・住宅分野における重要な政策の1つが、EnEV(エネフ)と呼ばれる省エネルギー法だ。2000年代の後半から、段階的に断熱性能などの基準の強化を重ねてきた。

 同国では規制の強化だけでなく、経済的な支援体制も整えている。その代表例が国営の金融機関であるドイツ復興金融公庫(以下、KfW)による住宅建設への支援政策だ。エネフの基準と連携している。

 例えば、KfWでは省エネルギー法で定められた基準よりもエネルギー消費量が小さい戸建て住宅や集合住宅の建設に対して、長期の低利融資をはじめとした仕組みを設けている。既存の倉庫や事務所を住宅に改修する場合も対象となる。

 なかでも、大きなメリットを得られるのが、融資額の一部について返済の減免を受けられる仕組みだ。融資額は最大で10万ユーロ(約1200万円)。建物が消費すると想定される1次エネルギーの量が、エネフで定める基準に対して55%以下の場合に支援対象となる。基準の40%以下ならば、最大で融資額の15%の減免を受けられるのだ〔図1〕。

〔図1〕熱損失も加味
ドイツ復興金融公庫(KfW)が設けている支援制度が求める1次エネルギー消費量と熱損失、融資額の返済減免率の関係。1次エネルギー消費量と熱損失の基準を同時に満たさなければ、返済免除を受けられない(資料:ドイツ復興金融公庫の資料に小室 大輔が加筆)
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 ただし、単に1次エネルギーの想定消費量を抑えるだけでは認められない。建物の熱損失を一定の基準以下に抑える必要がある。1次エネルギーの想定消費量が55%以下の場合であれば、熱損失をエネフで定める基準の70%以下に抑制しなければならない。加えて、外壁や開口部などに対して満たすべき熱貫流率も細かく定められている〔図2〕。

〔図2〕支援には各部の熱貫流率の基準も
図1で示すKfW55の支援を受けるためには、建物側で設定された部位ごとの熱貫流率の基準を満たす必要がある(資料:ドイツ復興金融公庫の資料に小室 大輔が加筆)
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 ドイツでは住宅だけでなく、建築物でもこうした規制や多様な支援策が整備されている。09年からは事務所建築においても、エネルギー消費に関する証明書の取得が義務付けられた。

 こういった背景から、多様な省エネ建材の開発が継続的に進められてきた。なかでも注目に値するのは、自然採光や自然換気を実現するために開発された開口部の新製品だ。

 「自然採光と自然換気の空間の方が、人工照明と空調による空間よりも作業効率は約10%高まる」。シュツットガルトの構造設計事務所ベルナー・ゾーベックは、米国の大学と共同で、このような研究成果を得ている。こうした研究が積極的に行われるなど、ドイツでは生産性の面からも自然採光や自然換気を後押しする傾向が強い。

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