熱帯に位置するシンガポールは、建物の消費エネルギーが大きい。その量は国のエネルギー消費の4割を占め、国は規制強化などの取り組みに注力する。建築では、独自の空調システムや気候を生かした緑化が目立ち始めている。

 冷房を中心としたエネルギー消費量が大きいシンガポールでは、国が省エネ建築への誘導を強力に推し進めている。同国の国土交通省に当たるビルディング・アンド・コンストラクション・オーソリティー(BCA)が推進する建築環境性能の認証「グリーンマーク」は、その一例だ。

 建物の環境性能を4段階で評価するシステムで、2008年に延べ面積が2000m2以上の新築ビルなど一定の規模を超える建物について、グリーンマークの取得を義務付けた〔図1〕。さらに計画対象の拡大による都市環境の底上げを狙い、公園や緑地に対して環境性能を認証する仕組みも整えている。

〔図1〕設計と運用を総合評価
シンガポールにおける建築物の環境性能評価システム「グリーンマーク」の格付けとスコアとの関係。建物の設計と運用の両面で総合的に環境配慮のレベルを評価し、スコアに応じて4段階に分類している(資料:Building and Construction Authority)
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 17年1月には、グリーンマークの認証を受けた建物は約3000棟に達した〔図2〕。同認証の格付けで最高位となるプラチナ認証の建物も200棟を超えている。

〔図2〕増えるグリーンマーク取得数
シンガポールでグリーンマークを取得した建物数の推移。2017年1月にはグリーンマークを取得した建物の総計が約3000棟に達した(資料:Building and Construction Authority)
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 単に認証を取得させるだけでなく、よりレベルの高い環境性能を実現しようという施策も進めている。中心市街地の特定のエリアでは、プラチナやゴールドといった一定以上の格付けを取得した建物以外は建設できないようにしたのだ〔図3〕。

〔図3〕エリアに応じて厳しい個別基準も設定
主要な成長エリアでは、より高いグリーンマーク評価が求められる。公共建築に最上位のプラチナ認定の取得を必須とする地区もある(資料:Building and Construction Authority)
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