超高層マンションが急増し、大手建設会社は長周期地震動を想定した技術開発にしのぎを削る。最新の動向では、建物内外を二重構造にする平面計画に関心が集まっている。背中を押すかのように、国はこの4月、超高層建物や免震建物の大臣認定の運用を厳しくする。

 まずは、この4月から始まる、超高層建物などに関する大臣認定の運用見直しについて、経緯を振り返っておこう。

 国土交通省は2016年6月、各都道府県の建築行政主務部長宛てに、「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動対策について(技術的助言)」と題する通知を送付した〔図1〕。

〔図1〕長周期地震動対策を都道府県に周知
国土交通省が2016年6月に各都道府県に送付した「超高層建物等における南海トラフ巨大地震による長周期地震動対策について(技術的助言)」と題する書面。大臣認定の運用を強化することなどを示した(資料:国土交通省)
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 同月に国交省がまとめた長周期地震動対策の実施について、管内の特定行政庁や都道府県知事指定の指定確認検査機関、既存建物の管理者などに周知を促す旨を、「技術的助言」として記したものだ。

 新築・既存の超高層建物と免震建物を対象に、長周期地震動に備えて取るべき対策などが盛り込まれている。超高層マンションや免震マンションも当然、その対象だ。

 国交省住宅局建築指導課建築物防災対策室の松本潤朗企画専門官は、「15年12月に内閣府が作成した南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動に関する報告を受け、具体策として、この長周期地震動対策をとりまとめた」と説明する。

大きく揺れる三大都市圏

 南海トラフに関する検討は以前から進められていた。そこに11年3月、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生。それを受けて、内閣府は改めて「南海トラフの巨大地震モデル検討会」を設置した。

 東日本大震災が発生した際、首都圏や大阪湾岸の超高層建物で、長周期で長時間にわたり大きく揺れる現象が起こったことから、より精緻な検討に着手。15年12月、内閣府は「南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動について」をとりまとめた。

 注目すべきは、関東から九州南部にかけての広い範囲で起こる地表の揺れの継続時間だ。特に、首都圏、大阪圏、中部圏という人口の集中する3大都市圏で、長時間にわたる揺れが発生しやすいことが明らかになった。

 超高層建物の躯体に及ぼす影響も、3大都市圏では大きい。国交省告示1461号が定める「極めてまれに発生する地震動」の最大値(疑似速度応答スペクトル)は毎秒81.5cmだが、3大都市圏は広い範囲で概ね毎秒150cm以下、沿岸部など一部区域は最大で毎秒250cm程度に達する。ただし報告書では、毎秒250cm程度の推計が出た区域も、「建物が倒壊するまでには、強度的に一定の余裕があるのではないか」としている。

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