陸前高田市郊外の高台に、スギ製材で架構を組んだ大屋根の中学校が完成した。内部は、屋根なりに湾曲するスギの架構を見せる大空間。どの教室からも海が見える。反り屋根とすることで、大開口を取りやすく、広さや用途の異なる各部屋も収めやすくなった。

大屋根の下に広がる2階エントランスまわりの大空間は、高さ10m、奥行き44m。鉄筋コンクリート造で入れ子状につくったホールや、オープンな図書室がある。イベントなどで地域に開放することを想定した空間(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 南に海を見渡す緩やかな斜面地に、6つの反り屋根の校舎が軒をそろえて連なる〔写真1〕。今年1月、岩手県の陸前高田市立高田東中学校が、高台の新しい校舎に移った。

〔写真1〕海を一望する高台
北東の上空からドローンで撮影した全景。リアス式海岸に抱かれた広田湾を一望する高台に立つ。写真の右奥が、復興の続く陸前高田市の市街地(写真:吉田 誠)
[画像のクリックで拡大表示]

 東日本大震災で被災した3校の統合から約4年がたち、約190人の生徒は初めて仮設ではない校舎に通えるようになった。「窮屈な校舎で我慢してきた子どもたちが、開放的な校舎に移ってのびのびとしている。本来の子どもの姿を久しぶりに見ることができた」。吉田雄幸校長は、そう言って目を細める。

 各建物は、鉄筋コンクリート(RC)造と鉄骨(S)造、木造の混構造。基本的には、外壁がRC造、柱梁がS造、屋根がS造と木造だ。プランは、敷地の傾斜をなぞった階段状。北側の道路に面した職員・来客用エントランスは2階に当たる。その内部には、地元の気仙スギによる架構に覆われた大空間が広がり、オープンな図書室やホールが配置されている。

 「地域に開かれた学校という要望を踏まえて、校門に近い2階のエントランス空間にホールなどを設けた」。そう話すのは、設計を手掛けたサルハウス(東京都渋谷区)の栃澤麻利共同代表。同社は、2012年に陸前高田市が実施したプロポーザルで設計者に選ばれた。実際の設計は、ワークショップを繰り返し、生徒や住民の要望をくみ上げながら進めた。

ここからは有料会員の登録が必要です。