善光寺(長野市)は、繊維メーカーの小松精練が開発した炭素繊維複合材料「カボコーマ・ストランドロッド」を、国の重要文化財である「経蔵」の耐震補強材に使用した。鉄筋ブレースを用いた在来工法に比べて、木材を傷つけるリスクが小さく、耐久性が高い。施工も容易になるので、工費を抑えられる。開発した炭素繊維ロッドを重要文化財の耐震補強に用いるのは、全国で初めてだ。

 カボコーマ・ストランドロッドは、炭素繊維をロープ状に加工し、それを7本より合わせたものに熱可塑性樹脂を含浸させた材料だ。鉄筋と比べて比重が約4分の1、引張強度は約7倍と軽くて強い。材料価格は、1m当たり3000円だ。

 さびが発生しないうえに結露が起こりにくく、剛性は鉄の約3分の1と木材に近い。こうした点が木造文化財の耐震改修に向いていると判断し、採用に至った。

 経蔵の耐震補強では、小屋組みの部材を拘束するために、炭素繊維ロッドの水平ブレースを小屋梁などに計16本取り付けた〔写真1〕。

〔写真1〕X字形で四方にロッドを
経蔵の軸組み模型。交差する黒い線材がカボコーマ・ストランドロッドに相当する。各辺の内側と外側に2重の水平ブレースを設置した(写真:日経アーキテクチュア)
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