日本の住宅の多くに使われる屋根材である粘土瓦は約1400年前からつくられてきた。「台風や地震に弱い」と誤解されがちだが、進化した防災瓦は熊本地震にも耐えた。鶴弥の阿久比工場では、金型の内製化や特許を持つ焼成技術で、高い品質を確保している。

 粘土瓦の歴史は約1400年前に遡るという。日本の風土に合った屋根材として今日でも多用されている。

 瓦の生産拠点は良質な粘土が豊富に取れる土地に集まる。有名なのは島根県の石州瓦、兵庫県の淡路瓦、愛知県の三州瓦。なかでも三州瓦は、全国の出荷枚数のうち7割超を占める。

 鶴弥の阿久比(あぐい)工場は、その三州瓦の産地である愛知県・知多半島の中央部に位置する。主力製品は真っ平な防災瓦だ〔写真1〕。

〔写真1〕震度7にも耐えた防災瓦
「素地(しらじ)」と呼ばれる乾燥させた成形品が並ぶ。表面に見える突起は瓦同士を固定するアームと呼ぶ箇所で、防災機能を確保する仕組みの1つとなる(写真:鶴弥)
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(イラスト:田中 英樹、写真:左は日経アーキテクチュア、右は鶴弥)
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 一般的な住宅では屋根の施工で約1500枚の瓦を使う。2016年4月に発生した熊本地震では、瓦が脱落した日本家屋の屋根が映像で流れた。「土が原料の瓦は重いため揺れに弱い」といった印象が広がったが、鶴弥によれば「防災瓦を使った住宅では熊本地震でもほとんど被害が見当たらなかった」という。実際、防災瓦は東日本大震災の被災地でも復興住宅の屋根に数多く採用されている。

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