太陽光発電システムで火災や風害を招く要因は、機器選定、設計、施工の各段階に潜む。さらに、導入から時間がたった製品では老朽化のリスクも加わる。対策は待ったなしだ。

 PVシステムを設置した住宅の火災で専門家が警戒感を強めるのが、新築住宅で採用が増えている屋根一体型だ。パネルやケーブルが防水シートなどの可燃物とじかに接するので、建物への延焼範囲が大きくなるリスクが過去の火災で明らかになっている。

 屋根一体型は建築基準法に基づく飛び火構造の認定を取得しているので、防火性能が高いと思われがちだ。だが、求められる性能は隣家からの火災を想定したものに過ぎない。パネルやケーブルなどから発火した場合を想定しているわけではない。PVシステムの防火性能を定め るJIS(日本工業規格)などにも、屋根一体型独自の規格はない。

 それでも、パネルメーカーが屋根一体型の発火リスクを減らす製品開発に取り組む動きは出てきている。ケーブルの被覆材が防水シートにじかに接すると劣化する恐れがあることに配慮して、シャープでは被覆を改めたケーブルを採用した〔写真1〕。京セラは、ケーブルがパネルの固定金具に挟まれて発生した火災(参照:太陽電池パネルが火元に ケース2)を受けて、ケーブルを挟みにくい固定金具を開発した。

〔写真1〕防水シートとの接触による劣化を防ぐ
架橋ポリエチレン材で被覆したケーブル。シャープが屋根一体型に指定する製品だ。ケーブルの被覆内の成分が、防水シートに移って招くケーブルの劣化や防水シートの変質を防ぐ(写真:シャープ)
[画像のクリックで拡大表示]

 発火につながる施工ミスを防止するために、パネルメーカーは施工者に火災事例を伝える活動も始めている〔図1、写真2〕。そうした情報を意欲的に学ぶ、安全意識の高い施工者を選んで工事を依頼するのがよい。

〔図1、写真2〕施工者に火災事例を伝える
シャープが施工特約店に送った火災事例。合成樹脂管内で電線に接続部を設けたことが発火につながったと伝える。電気設備の技術基準の解釈が禁止する行為に当たる(資料と写真:シャープ)
[画像のクリックで拡大表示]

 それでも、発火リスクをゼロにするのは容易ではない。もっとリスクを抑えたいのであれば、屋根置き型パネルを使って屋根一体型に近い外観にしている製品を選択することも一考に値する。薄い不燃材の上に直接金具でパネルを取り付けるパナソニックの「野地ピタ」はその一例だ〔写真3〕。

〔写真3〕屋根置き型で屋根一体型のように見せる
薄い不燃材の上に直接金具でパネルを取り付けて、防火性能と屋根一体型に近いデザイン性の2つを狙ったパナソニックの「野地ピタ」。瓦とパネルの間に水切りを設ける(写真:パナソニック)
[画像のクリックで拡大表示]

 PVシステムを搭載した住宅では、火災が発生した場合に消火活動の危険性が増す。消防隊員が直流ケーブルに触れて感電するといった事故が起こっているからだ。東京消防庁ではPVシステムの設置状況がすぐに消防隊員へ伝わるよう、パワコンや接続箱、直流ケーブルにその旨を表示するよう求めている〔写真4〕。

〔写真4〕パワコンと直流ケーブルの位置を消防隊員に伝える
東京消防庁の求めに沿って、接続箱と直流ケーブルにPVシステムの一部である旨を示した例(写真:島電気商会)
[画像のクリックで拡大表示]

ここからは有料会員の登録が必要です。