豪雨の影響で民家の地盤がえぐられ、直下を走る線路内に土砂が流れ込んだ。責任を負うのは土地所有者としての管理責任を怠った住民か。それとも宅地造成の許可を与えた行政か。現実に起こったトラブルの責任の所在は宙に浮いたままで、改修工事のメドは立っていない。

地震で家屋が転落する恐れ

 2017年10月22日に関西圏を襲った台風21号の影響で、奈良県三郷町の近鉄生駒線沿いの高台にある住宅地のコンクリート擁壁が高さ約8m、幅約50mにわたって崩落。家屋は何とか踏みとどまったものの、基礎がむき出しになり、エアコンの室外機が垂れ下がるなど、極めて危険な状態に置かれている〔写真1、2〕。

〔写真1〕危険な状態が続く事故現場
現場を通過する近鉄生駒線の電車。静止状態に近いほどのゆっくりとした速度で、土砂崩落があった現場を走行している(写真:田口 由大)
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〔写真2〕地震による2次災害のリスクも
11月25日に撮影した現場の状況。住宅の基礎や杭がむき出しになっている。法面にブルーシートを被せ、その上に土のうを積むなど簡単な応急措置を施している。地震による2次災害の危険性もあるため、多くの居住者が別の場所に避難している(写真:田口 由大)
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 現在、生駒線の電車は最徐行しながら通過している。それでも、地震による横揺れを受ければ、家屋が転落する恐れがある。

 崩落した盛り土の土砂は住民の私有地内にあったものだった。そのため、行政側は「公費を投入して県が復旧工事をする法的な根拠が見当たらない。現段階での県による対応は難しい」(奈良県建築課)との立場を取る。

 しかし、この土地の盛り土工事を行ったのは、県の許可を受けた開発会社だった。加えて、その後補修工事を繰り返した経緯がある。そこで住民側は「県にも責任がある」と指摘。奈良県は、京都大学防災研究所の釜井俊孝教授に改修工事の影響も含めた崩落原因の調査を依頼した。

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