(写真:平成建設)
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 平成建設(静岡県沼津市)は、大卒社員を多能工として育成していることで有名だ。家づくりの主要な工程を社内でまかなう「内製化」に取り組んで、住宅の品質を確保。自社の強みとしている。

自社の大工が技術の研さんのためにつくった継手の見本。新入社員は全員、1年間職人の研修を受ける(写真:平成建設)
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 この方針を打ち出す契機となったのは、社長の秋元久雄氏が大手住宅会社の若手営業マンだった頃のある出来事だ。

目も合わさずに「うるせえ」

 夏の昼下がり、現場を見に来た建て主が作業中の大工に声をかけた。「お疲れさまです。いつもありがとう。この部屋はリビングですよね」。

 すると大工は目も合わさずに「うるせえ」と吐き捨てるように言って背中を向けてしまった。

 建て主は驚き、しばしぼうぜん。実は秋元氏、このような状況に出くわしたことは1度や2度ではない。建て主にろくにあいさつもせず、邪魔者扱いする。そんな大工たちに対し、「こんなことを許してはいけない」と憤りを感じていた。

 「これは大工が下請けだからだ。元請けの住宅会社からお金をもらっているから、そっちの言うことだけを聞いていればいいと勘違いしている。しかし、建て主をないがしろにしていい家ができるはずがない」

 真夏の現場で見た寒々とした現実を前に、秋元氏は「自分が起業したら、まずは大工を自前で育てなくては」という思いを胸に刻んだ。

(イラスト:浅賀 行雄)
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