想定を超える豪雨が各地で牙をむく。家づくりや街づくりにも変化が求められている。

 6月下旬からの梅雨前線や台風3号の影響で、九州北部を中心に猛烈な雨が降った。気象庁によると、7月5日から6日にかけての降水量は、福岡県朝倉市朝倉で586.0mmと記録的な大雨だった。

 この豪雨は大きな水害を招いた〔写真1〕。土石流も引き起こし、土砂や流木が建物を襲った。福岡県だけでも、家屋の被害は8月1日時点で981棟に上った。

〔写真1〕豪雨による水害が大きな被害を招く
一帯が水に漬かった福岡県朝倉市の市街地。7月5日から6日にかけての降水量は、朝倉で586.0mmと記録的な大雨だった(写真:読売新聞/アフロ)
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 7月22日から23日にかけて秋田県で降り続いた記録的な大雨も、横手市などに大きな被害をもたらした。横手では2日間で314.5mmの降水量。この影響で河川が氾濫し、1800棟を上回る住宅に被害が生じた。

 ここ数年を振り返っても、ほぼ毎年のように記録的な豪雨が水害を招いている。もはや水害は地震や火災と同様に、家づくりの際に備えが要る災害に変化してきている。

床高上げて被害額が93%減少

 地盤が崩れて土石流や流木を伴うような大規模な水害に対しては土木事業による対応が不可欠で、建物側での対策は難しい。

 だが、下水処理能力を超えた集中豪雨で水が溢れる内水氾濫や、徐々に水位が上昇する河川氾濫などの水害への対応は少し違う。「河川管理だけでなく都市計画や建築レベルでの対策とも連携して水害リスクを低減する必要がある」。芝浦工業大学システム理工学部環境システム学科の中村仁教授はこう指摘する。

 その水害対策の1つが、基礎高を上げて床の高さを上げる方法だ。中村教授はある河川地域において、床高を上げた場合に水害被害額をどの程度低減できるかをシミュレーションした。10年から1000年に1度の確率までの降雨量9パターンを用意し、それぞれ、対策なし、基礎高0.5m増、1m増の3パターン、計27パターンの年間被害額を推定。その結果、ある地区では床高を上げた場合の年間被害額期待値が93%減少した。

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