オープンストリートマップの編集画面。熊本地震で破壊された阿蘇大橋は、17年8月時点でGoogleマップの方には存在し、「変更求む」という修正提案の書き込みが残っている。また、阿蘇山の周辺は当時、Googleマップでは、まだ建物の書き込みが進んでいない地域だったという(資料:OpenStreetMap Contributors)
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 地理空間情報を、誰でも自由に使えるものとして提供する「オープンストリートマップ(OpenStreetMap)」と呼ばれるプロジェクトがある。元となる衛星画像、航空写真などの情報があれば、発災後の状況を反映した最新の地図に短時間で更新できる仕組みを持つ。そのため、災害対応の現場を支援する有効なツールとして使われるようになっている。

 最大の特徴として、一般市民が参加し、オープンな制作環境の下で地図の更新を進める。よく知られる仕組みとしては、フリー百科事典のウィキペディアに近い。

古橋大地氏
青山学院大学 地球社会共生学部教授

 国内で、その普及に努めてきた一人、青山学院大学地球社会共生学部の古橋大地教授は、英国で2004年に生まれたオープンストリートマップに2008年に出会い、コミットを開始した。

 古橋教授によると、当初は白地図に近いところからスタートする。「マッパー」と呼ばれる、全世界に300万人以上いるとされる個人ボランティアが、機会あるごとに写真を参考に建物をトレースするなど地図に書き込みを続ける[図1・2]。また、使用の許される国の機関のデータ、企業のデータなどを寄せ集め、平常時のイベントで地図をつくる場も設けている。

 日本の場合は2011年、Yahoo! Japanが同社の保有する地図資産をオープンストリートマップに提供。それを3年がかりでインプットし、充実した地図の体裁に育てた。

図1 東京エリアでは数千人が活動
地図の更新に関わるマッパーのいる場所。東京周辺には数千人がいるとされる(資料:Pascal Neis)
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青山学院大学におけるマッピング作業の様子(資料:mapconcierge)
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図2 誰でも簡単に地図の図形を編集
オープンストリートマップの編集画面。ウェブブラウザ上の簡易な図形編集ツールを使い、地図に書き込んだり、状況の変化に応じて既に書かれているラインを修正したりする(資料:OpenStreetMap Contributors)
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