窓ガラスの表面だけでなく、複層ガラスの内部まで結露が広がっていた住宅。現場で原因究明の実験を試みた。前回の「原因不明の大量結露(前編)」「原因不明の大量結露(中編)」では、それぞれ室内外の温湿度を測定したり、CO2濃度と換気口の換気風量を測定したりした。今回は、換気設備のプロに話を聞きながら、24時間換気と結露の関係性を探った。

換気設備のプロにMさん宅の対策を聞く

換気設備を全て24時間対応に

 検証の協力を引き受けてくれたパナソニックエコシステムズに、測定結果の分析と対策を聞いた。お客様支援グループお客様支援担当参事の廣石和朗さんと、同グループ主事の中村博さん、営業企画グループ宣伝チームリーダーの蛭海浩さんが取材に応じてくれた。

手前からパナソニックエコシステムズお客様支援グループお客様支援担当参事の廣石和朗さん、同グループ主事の中村博さん、営業企画グループ宣伝チームリーダーの蛭海浩さん(写真:日経ホームビルダー)
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Q:ガラスの結露原因が測定結果からわかったか?

 子供室のCO2濃度が、換気不足を明確に示している。外気のCO2濃度は通常350~400ppm。24時間換気している室内濃度は、高くてもプラス100ppmくらいが一般的だが、Mさん宅は1000ppmをしばしば超える。「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」が、ビル向けに定めるCO2濃度の基準値は1000ppmだ。

 CO2の値が高くても健康への悪影響はないが、換気が悪いせいでCO2以外の汚染物質の濃度が高くなる恐れはある。

 和室の窓の結露は換気フィルターにほこりが溜まって換気量を少なくしていたことと、窓開けが少ないことが関係しているだろう。

Q:結露を招く水蒸気の発生源はどこだと思うか?

 一つは絶対湿度が一番高い和室。室内の絶対湿度は外気より少し高い程度が普通だが、Mさん宅の和室は外気よりかなり高い。露点温度が18.2℃なので、そこまで室温が下がると結露してしまうことになる。和室は畳や下地にすき間があるので、下から湿気が上がってきている可能性がある。階下の状況を調べる必要がある。

 もう一つの発生源は洗面所。洗面所からの湿気が、廊下や階段室に回っていることも明らかだ。子供室の湿気の発生源は住まい手自身だ。親子3人で就寝していて、夜の絶対湿度が高くなっているのだろう。

Q:結露防止策として何を実施したらいい?

 根本的には、0.5回/時という換気回数を最低限確保したい。現在の2階の換気回数は、フィルターの清掃直後で0.3回/時(第1種換気の換気量44m3/時を、2階の気積142.5m3で除した値)、2階以外は換気があったりなかったりという状態になっている。 

 具体的には、子供室の排気ファンを、音の静かな24時間換気対応品に交換する。浴室暖房乾燥機を換気量の多い換気専用設備に交換して24時間運転することで、浴室や洗面所から出た湿気を他の空間に回さないようにする。

 それでも和室の結露などが解決しない場合は、第1種換気を換気量が多い機種に取り替える。

 対処療法的には、キッチンと浴室、トイレ、子供室などの排気ファンを24時間運転することだ。冬は、寝室や和室の室温を窓の露点温度より下げないようにする、浴槽のお湯を入浴後に抜くといった、暮らし方の工夫も必要だ。

Q:そもそも、建築基準法の24時間換気は結露対策として有効か?

 建築基準法は居室に対して、24時間運転の機械換気設備を使った0.5回/時以上の換気を義務付けている。これはシックハウス対策として導入されたものだが、結露対策としてもある程度は有効だ。住宅性能表示制度は、結露対策などのために必要な機械換気設備の換気回数を、0.3もしくは0.4回/時以上と記しており、現行基準はそれを上回るからだ。

 ただ換気回数の0.5回/時を確保すれば、絶対に結露しないわけではない。洗濯乾燥機や食器乾燥機を長時間使うなど、水蒸気を多く出す生活をしていれば、それに応じた換気計画が必要になる。

Q:熱交換型第1種換気設備の清掃方法は?

 室内側の吸い込み口のフィルターは、掃除機を使って半月に1回ほこりを取る。ユニット内部のフィルターの掃除は半年に1回、熱交換素子と給気口は1年に1回が目安だ。フィルターはぼろぼろになったら交換すればいい。

 屋外側の外気取り入れ口に防虫ネットが付いている場合は、1年に1回は掃除をしてほしい。そのためには、外気取り入れ口を清掃できる場所に配置することが欠かせない。

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