4月10日、「社食堂」という一風変わった名前の飲食店が東京・代々木上原にオープンした。この社食堂は、谷尻誠氏と吉田愛氏が共同主宰する設計事務所、サポーズデザインオフィスの東京事務所を兼ねている。

4月10日、東京・代々木上原でオープンした「社食堂」のエントランス。井の頭通りに面した建物の地下1階にある。「会社の食堂」+「社会の食堂」から、店名を「社食堂」とした。サポーズデザインオフィスの東京事務所を兼ねている(写真:日経アーキテクチュア)
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エントランスから店内を見る。キッチンが中央にあり、井の頭通りに面したエントランス側がカフェエリア、奥側がオフィスエリアだ。東京事務所のスタッフのほか、出張で東京に滞在する広島事務所のスタッフなどが常時10名ほど働いている。写真右手の壁面に設置した本棚には、ブックディレクターの幅允孝氏の選書が並ぶ。店内には、写真家の若木信吾氏の作品も飾られている(写真:サポーズデザインオフィス)
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 街に開いた食堂でありながら同社の社食でもあるという空間で、新しい働き方を始めている。入ると一見、おしゃれな飲食店なのだが、店内を少し進むと、数人のスタッフが仕事をしているではないか!

 中央にあるキッチンを境にエントランス側がカフェエリア、奥側がオフィスエリアと緩やかなゾーニングはあるものの仕切りはなく、機能がつながる。

オフィスエリア。写真の奥側には、壁に囲まれた執務スペースがある。この奥側のスペースにのみ、可動式の間仕切りを備えている。以前の東京事務所は約60m2だったが、「社食堂」はその約3倍に拡張。谷尻氏は「みんなが集まったら、そこはもう会議室。いかに仕切らないかを考えた」と話す(写真:日経アーキテクチュア)
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社食堂のカフェエリア(写真:サポーズデザインオフィス)
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 同社の谷尻誠代表は、「設計事務所で働く人は忙しさから、食事がおざなりになり、栄養バランスが偏りがちだ。そのエネルギーをもとにデザインが生まれると考えると、食べるものから変えるべきだと考えていた。スタッフの健康をデザインすることと同時に、社会の健康もデザインする。オフィスを開放することで建築の魅力も発信できる。始めてみないと分からないことだらけだが、きっと楽しく働けるはずだ」と期待を込める。

 オープン初日の午後3時ごろに社食堂を訪れてみると、食事を楽しむ人と仕事をする人とが何ら違和感なく共存していたのは印象的だった。

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