ある夏の日、《みどり》の設計工房に電話があった。彼女と《一平太》が手がけた二世帯住宅に暮らす顧客OB《平野マミさん》が、新居を計画中の友人《香川梨花さん》を引き合わせてくれるというのである。喜び勇んで平野邸にでかけた一平太とみどりだったが、そこには思いがけない事態が待ち構えていた。2階リビングでのなごやかな談笑の途中、トイレからもどってきた梨花さんがクシャミを連発。聞いてみると、彼女はアレルギー体質でタバコのにおいが苦痛だという。しかし、2階ではだれもタバコを吸っていなかった。階下に住むヘビースモーカーの《マミさんの義父》のせいなのか?しかも、その義父が怒鳴り込んできたのだ。「棟梁!この家は2階の音が筒抜けじゃないか!」と。突然振って湧いた「におい」と「音」のクレーム地獄。さあ、どうしよう……。

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この作品は取材と調査にもとづくフィクションです(初出:日経ホームビルダー 2006年8月号)