2020年と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるだろうか。多くの人は、「東京五輪・パラリンピックが開催される年」と答えると思う。

 東京五輪・パラリンピックは、新国立競技場や選手が滞在する選手村など、関連施設を整備する工事が「五輪特需」とも言われている。建築業界にとっては大きなイベントだが、もう一つ重要なイベントがある。「省エネ基準の適合義務化」だ。

 建築物で確保すべき主な性能には、省エネ性能と並び、耐震性能がある。耐震基準を満たさない建築物は建てられないのが常識だ。

 では省エネ基準はどうか。2017年3月までは、基準を満たさなくても建てることができた。2012年時点では、省エネ基準を満たす住宅は5%しかないという“お寒い”状況だった。

既存住宅の省エネ基準への適合状況(2012年時点)。次世代省エネ基準(1999年に定められた省エネ基準の通称)の適合は5%しかなく、無断熱が39%を占める(資料:国土交通省の資料を基に日経BP総研 社会インフラ研究所が作成)
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 しかし、このような状況は変わりつつある。2016年11月に発効したパリ協定で、日本は温室効果ガスを2030年度に2013年度比マイナス26%とすることを約束した。その実現のためにも、省エネ建築はどんどん増やさなくてはならない。

 新たに制定した「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に基づき、2017年4月から、これまで野放図だった建築物の省エネ性能に基準適合が求められるようになった。基準を満たさない建築物は、建築確認申請が通らず、着工できなくなる。

 まずは延べ面積2000m2以上の大規模な非住宅(ビル)が対象となる。対象は段階的に拡大していき、2020年までに全ての新築建築物に適用される予定だ。

建築物省エネ法の規制措置。常温倉庫や車庫など「空気調和設備を設置する必要のない建築物」や文化財、仮設建築物は適用除外(資料:日経BP総研 社会インフラ研究所)
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