東京都目黒区のホテル雅叙園東京において、「木材活用フォーラム2017」が2017年11月に開催された。同フォーラムで開かれた3つのパネルディスカッションの概要を紹介する。セッションの最後のテーマは、「木造建築の技術や制度を読み解く」。日経BP総研社会インフラ研究所上席研究員の小原隆の司会で議論を行った。

(撮影:渡辺 慎一郎)
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パネリスト(五十音順)
  • ナイス 建設事業本部 執行役員 木構造事業部 部長 遠藤雅宏氏
  • 竹中工務店 木造・木質建築推進本部 副部長 小林道和氏
  • 桜設計集団 代表、早稲田大学招聘研究員、NPO法人team Timberize副理事長 安井昇氏
モデレーター
  • 日経BP総研 社会インフラ研究所 上席研究員 小原隆

小原:中大規模の木造は、防耐火をはじめとする技術や制度を読み解いていく必要があります。それぞれの立場から、最近の取り組みを説明してください。

安井:2010年10月に「公共建築物等木材利用促進法が施行されて以来、国土交通省や林野庁の予算で、防耐火に関する多くの実験が実施されており、私はその大半に関わってきました。

 それらの実験の根幹にあるのは、「燃えながらも安全にする」という考え方です。建築基準法の防耐火構造に関する規定に、「燃えない」という言葉はありません。求めているのは、「燃え抜けないこと」、「燃えても壊れないこと」です。

 そこで、万が一、木材が燃えても、「ゆっくり燃えること」を長所として評価し、各種の実験で検証して、木造をつくりやすい法制度の改正につなげていこうというのが今の流れです。例えば、準耐火建築物の「燃えしろ設計」は、「ゆっくり燃えること」を評価して、現しの木構造を可能にするものです。

小林:当社では、都市部などで中大規模の木造を実現するために、耐火集成材「燃エンウッド」を開発しました。これまでに6件が完成し、2件が施工中です。

 ただし、燃エンウッドの柱・梁だけでは建物は成立しないので、現在、周辺技術の開発にも注力しているところです。耐火構造部材の大臣認定制度は、柱・梁の一般部が対象で、接合部は対象外です。そのため、柱・梁の接合部の実大実験などで耐火性能を検証しています。

 また、配管類が梁を貫通する箇所や、耐火集成材と防火区画が取り合う箇所など、木造の耐火建築物の設計には、火災時の状況を想定しながら安全性と建築の合理性を両立させる必要があります。現在、そうした技術の拡充にも取り組んでいます。

遠藤:私たちは全国で国産木材のプロデュースを手掛けており、その一環で森林認証材やJAS(日本農林規格)認定品の普及にも力を入れています。なかでも強化しているのが、「JAS機械等級区分製材品」の展開です。

 JAS認定品は、強度と寸法安定性などを1本ずつ検定して品質を確保するものです。しかし、木材のJAS認定品の格付け率※は、集成材の93%に対して、製材は12%にすぎないのが現状です。

 JAS機械等級区分製材品の認定工場は全国に69ありますが、各地に均等にあるわけではありません。そのため、地産地消を目指しても、JAS工場が近傍になく、供給体制が問題になることがあります。そこで、当社は全国38カ所の物流センター、16カ所の木材市場、プレカット工場、製材工場のネットワークを構築して、JAS製材品の安定供給を目指しています。