英国の脱退表明などで揺れる欧州連合(EU)。その中枢がベルギーの首都ブリュッセルにあることは、ご存知のとおりだ。EU理事会が本拠にする施設の再開発に伴って生まれたばかりの建物を見に行ってみた。

EU理事会本部の新棟。ガラス張りファサードの内部はアトリウム空間になっていて、日が暮れると、灯火のような形の内部構造物の明かりが浮かび上がってくる。まるで巨大なランタン(角灯)のように見える(写真:武藤 聖一)
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左手前がEU理事会本部が入る既存建物「ユストゥス・リプシウス」、右手奥に隣接するガラス張りの建物が新棟(写真:武藤 聖一)
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 この新棟建設の端緒は十数年前に遡る。旧共産圏の東欧諸国を中心に約10カ国が相次いでEUに加盟し、組織は急拡大。EU理事会の本部として1995年以来使用されていた既存建物「ユストゥス・リプシウス(Justus Lipsius)」が手狭になった。そうした状況を背景に、地元ベルギー政府は2004年に隣接地(旧レジデンス宮殿)の提供を決定し、再開発の計画へとつながっていった経緯がある。

 再開発に向けて、国際コンペが実施されたのは2005年だ。コンペの結果、地元のフィリップ・サミーン&パートナーズ(Philippe Samyn and Partners)、イタリア・ローマのスタジオ・ヴァレ・プロジェッタチオーニ(Studio Valle Progettazioni)、そして構造設計を手掛ける英国・バースのビューロ・ハッポルド(Buro Happold)の各事務所によるグループの提案が採用された。

ユストゥス・リプシウスと新棟はロワ通り沿い。右手の建物は同じくEUの重要機関が入る建物「ベルレモン(Berlaymont)」(写真:武藤 聖一)
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 2008年から既存施設のアスベスト撤去や解体といった作業が開始。工事は2016年末に終わり、今年1月から運用を始めている。既に各種の国際会議などが、この新棟で開催されている。

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