2018年5月10日号の特集は「労働実態調査2018 脱・長時間労働」です。一級建築士365人のアンケート回答を得て、年収や労働時間、やりがいなどを分析しました。同様の調査を10年前の2008年、5年前の2013年にも実施しており、それらとの比較も掲載しています。

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 特集冒頭で大きく掲載したのは、一級建築士全体の平均年収の推移です(上の図)。2008年調査では683万円だった平均年収が、前回の2013年調査では585万円と50万円近く下がりましたが、今回調査では10年前とほぼ同じ680万円に回復しています。

勤務先別に見た平均年収10年の推移
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 上の棒グラフは回答者の勤務先別で見た平均年収の推移です。今回調査の金額を見ると、従業員3人以下の設計事務所は542万円。4~9人の設計事務所と10人以上の設計事務所はほぼ同じ金額で、前者が751万円、後者が749万円でした。建設会社はそれよりも高く、778万円。いずれも前回調査より高い金額です。

 年収は上昇基調ですが、働く環境として改善に向かっているかというと、そこは何とも表現が難しい結果となりました。

「労働時間は適正か」の問いに対する前回と今回の回答の比較
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 「労働時間は適正か」という問いを見ると、「ちょうどいい」が31%で、「やや長い」が33%、「長い」が19%。前回調査(2013年)の同じ質問では「ちょうどいい」22%、「やや長い」30%、「長い」32%だったので、この比較だけを見れば適正に向かいつつあるといえます。

「仕事にやりがいを感じるか」の問いに対する前回と今回の回答の比較
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 一方、「現在の仕事にやりがいを感じているか」という問いを見ると、前回は「感じる」が45%、「やや感じる」が47%だったのが、今回は「感じる」44%、「どちらかというと感じる」40%と、わずかに“やりがい度”が低下する結果となっています。

 収入、労働時間、やりがい──。それらがあなた自身の実感とどう重なるかを、特集に掲載した詳細データと比べてみてください。

 今回の特集の“核”は、実はそうした調査結果そのものよりも、結果を踏まえて設計事務所や住宅メーカーなどに取材した時短の実践策、あるいはモチベーションの高め方です。

 筆者が社会人となった1990年には、24時間闘うことができるかを問う栄養ドリンクのCMソングが、連日のように流れていました。そうした時代と今では価値観が180度変わったといっても言い過ぎではないでしょう。これはまねできそう、そこまでやるか……。読めばそんな独り言を思わず口にしてしまう特集です。ぜひご一読ください。

出典:日経アーキテクチュア、2018年5月10日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。