古くは「桃太郎」、ベテラン世代は「七人の侍」、現役世代は「ドラゴンボール」……。こういうタイプのストーリー展開を何と呼ぶのか分かりませんが、仮に「戦士集結型物語」と名付けるとすると、今号(2018年4月26日号)の特集「真の生産性革命へ! 現場ロボット図鑑」はそれと似た面白さのある企画です。

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 特集の前書きを引用します。

 「建築の施工現場でロボット導入が本格化し始めた。技能労働者の不足や高齢化が深刻さを増すなか、現場の生産性を一気に高める切り札として期待されている。かつての反省を生かした『真の生産性革命』の実現に向けて、現場の戦力となるのは技能者と一緒に働ける『協調性』や多様な状況で使える『汎用性』を備えたロボットだ。大手建設会社各社の最新ロボットを徹底解剖する」

 実は半年前の2017年10月26日号で、「ロボットが現場を救う」という11ページのリポート記事を掲載しました。それが面白く、読者の反応も良かったので、さらに対象を広げて取材をかけたものです。

 今回の取材チームの目標は、

  • (1)大手建設会社が既に実用している、もしくは実用化間近の現場ロボットをできるだけ網羅する。
  • (2)それによって建築生産の仕組みがどう変わるのか、識者の意見を交えて展望する。

 (1)の「ロボット網羅」については、100%ではないにしても、主要なロボットはほとんど網羅できたのではないかと思います。また関連話題として、施工現場以外のロボットも4機種取り上げています。

 各建設会社ともライバル企業がどんなロボットを開発しているのかうっすらとは知っているようですが、それぞれの能力を一覧の形で解説した資料は貴重です。ロボット開発の関係者はもちろん、建設現場に関わる人であれば食い入るように読んでいただけることでしょう。設計畑の人は「そこまで詳しくなくとも」と思われるかもしれませんが、一度ページを開いていただければ、「最新ロボットについて知るワクワク感」に引き込まれるはずです。

 目標(2)の「展望」については、正直なところ、「建築生産の仕組みがどう変わるか」までは具体的に明示できていません。けれども、「大きく変わることは間違いない」ということを実感してもらうために、全体の構成を「会社割り」ではなく「現場での用途割り」にしました。

 各会社ごとで見ると「現場の一部」しか担っていないロボットたちですが、「用途割り」で見ると徐々にロボットが活躍し得る状況が広がってきたことが分かります。会社の垣根を越えてロボットを連携させれば、現場の光景は今すぐにでも変わりそうです。冒頭に「桃太郎」「七人の侍」「ドラゴンボール」と書いたのはそういう意味です。

 もう1つ、「専門家の視点」ということで付け加えると、弊社のロボット専門誌「日経Robotics」の進藤智則編集長に、施工現場のロボット開発をどう見ているか、建築分野の技術者に向けて寄稿してもらいました。

 詳しくは記事を読んでほしいのですが、ざっくり言うと、こんな内容です。

 ロボットには大きく「移動搬送型」と「アーム型」があり、「アーム型」のほうが開発が難しい。そして、施工現場で生産性向上のカギになっている「移動搬送+アーム」の「ハイブリッド型」は、さらに難度が高い──。

 とかく「施工現場は旧態依然」といわれますが、「ハイブリッド型」の現場ロボットが実用化できれば、ロボット開発のなかでも“最先端”と胸を張れるものになる、ということのようです。そしてその技術は、他領域での“新たなビジネスの種”となることは間違いないでしょう。

出典:日経アーキテクチュア、2018年4月26日号
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。