2018年4月12日号の特集は「今こそ好機!『稼ぎ方』再考」です。この特集は私が提案した企画で、プロローグも私が書いたので、それに手を入れる形で「今号の見どころ」とさせてください。

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目次

 新築需要だけではこの先食っていけない──。今や建築実務者の多くが感じている危機感でしょう。しかし、それ以外に一体どうやって稼げばいいのか──。そのヒントを探るのが今回の特集です。

 特集の内容紹介に入る前に、少し昔話をさせてください。

 1976年4月に創刊した日経アーキテクチュアは、今号で創刊42年目を迎えます。当時と現在の建築界には、いくつかの共通項があります。その1つが「報酬」の見直し機運の高まりです。

公取問題をリポートする日経アーキテクチュア1976年5月3日号(通巻3号)と同年8月9日号(通巻10号)の誌面。公取問題は創刊時に関心の高いニュースの1つだった
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 1976年の日経アーキテクチュアを見返すと、「公取」と「報酬基準」という言葉が頻繁に見出しに現れます。

 ことの発端は創刊前の75年3月でした。当時の公正取引委員会委員長が参議院予算委員会で「建築家は事業者である」との見解を表明。独占禁止法に抵触するとして、建築関連諸団体に設計料率(工事費に対する設計料の割合)などの統一報酬規程の廃棄を警告しました。

 これを受けて日本建築士会連合会は報酬規程の廃棄を決め、76年3月に「事業者団体」としての届け出を提出。日本建築家協会は「独占禁止法になじまない」として公取委の勧告を拒否。一方で国は、現在の報酬基準、国土交通省告示15号へとつながる旧建設省告示1206号の作成作業を開始します。

 そうした建築設計者の業務を大きく揺るがす騒動のなかで、日経アーキテクチュアの1年目はスタートしました。

 今の感覚で当時の記事を読むと、建築界が「建築設計は事業(ビジネス)ではない」と公然と主張していたことに驚かされます。記事の多くは「建築界にはもっとビジネス視点が必要」というスタンスで書かれていますが、登場する発言者(建築設計者)とのギャップは否めません。

 それから40年以上がたちましたが、今でも、ある世代以上には「仕事の依頼は座して待つもの」という意識が根強いように感じます。けれども、この先そうした感覚で“逃げ切れる”のは、おそらく60歳代以上の人だけでしょう。