小渡建築設計室が設計した一戸建ての改修事例が、横浜市の既存住宅エコリノベーション事業コンペ(2013年度)において最優秀賞を受賞した。耐震性、断熱・省エネ性の向上とともに高齢者のライフスタイルの提案をしたことで高い評価を得た。

 K邸は築36年の木造住宅。建て主が横浜市が実施している耐震診断を受けたところ、評点0.32という結果となったため、小渡建築設計室に改修の依頼をすることになった。

 小渡佳代子代表は現地調査を行い、「躯体が東西に長いので耐力壁をバランスよく入れ、2階のオーバーハングしている部分を解消。多用されている出窓を減らすなどの改修であれば評点1.0の実現は可能」と判断。そのうえで、「建て主は既に退職し、これから老後を迎える。住み慣れた家で快適に暮らすためのエコリノベーションを提案した」(小渡代表)という。

西日を遮蔽、吹き抜けを新設

 屋根・外壁・床下には、熱貫流率、熱伝導率を考慮し、隙間なく吹き付けることができ断熱欠損が発生しにくい発泡ウレタン断熱材「アクアフォーム」を採用。開口部にはLow-Eペアガラスとアルミ樹脂複合断熱サッシを選び、階段室の既存フィクス窓には遮熱フィルムを貼ることに。また冬の日差しを取り込みつつ、夏の直射日光を避けるため、2階の窓の位置を下げ、1階へ光を届ける機能も兼ねるようにした。

建物の中央部に設けられた吹き抜け。西日による日射熱をカットするために西側の大きな窓を小さくした一方、吹き抜けを新設することで光を室内に広げながら、1階、2階の通気も改善した(資料:小渡建築設計室)

2階の窓の高さを変えることで夏の直射日光を遮りながら、冬の日差しを取り込めるようにした(写真:小渡建築設計室)

 さらに建物の西側の開口部を減らして、西日の日射熱の影響を抑える一方で、1階の応接間の一角に吹き抜けを新設。採光量を確保しながら、1階と2階を流れる空気の通り道を用意した。吹き抜け上部にはシーリングファンを設置して対流が起きるようにし、2階の換気扇から暖気が抜けるように計画している。冬場には1階に敷設した床暖房の暖気が吹き抜けを通じて、効率よく室内に行き渡る(図1、および次ページ図2)。

図1  吹き抜けをつくり夏場の風通しを確保した
(資料:小渡建築設計室)

 設備面では、排気熱・潜熱を利用した高効率ガス給湯システム「エコジョーズ」を採用。HEMS(住宅エネルギー管理システム)も導入、エネルギー消費の「見える化」を図った。また、内装材には、紙クロス「ルナファーザー」、腰壁に9mm厚の杉の無垢板など、調湿性のある材料を使った。