家族構成やライフスタイルによって、家庭のエネルギー使用量は大きく異なる。一方で、建物の仕様や省エネ設備の種類との相性もある。東急不動産は、エネルギー使用状況をクラウド型HEMSで収集・分析し、住まいと設備と暮らしのベストミックスを産学協同で検証する。

 「ブランズシティ品川勝島」は、「東急グループで取り組む省CO2推進プロジェクト」の第1号物件だ。このプロジェクトは、省エネ設備を導入して居住者へ省エネ行動を働きかけ、効果を検証する取り組み。新築・既存マンションや一戸建てなど、自社グループが提供するさまざまなタイプの住宅を対象とする(図1)。

図1 産学協同で建物とライフスタイルに適した省CO2施策を検証
「ブランズシティ品川勝島」が第1号物件となる「東急グループで取り組む省CO2推進プロジェクトの実証実験」スキーム図。国土交通省「住宅・建築物省CO2先導事業」(2013年)に採択された(資料:東急不動産)

 収集したエネルギーデータは、東京都市大学との共同研究によって分析。成果を共有し、グループ全体で実効性の高い省CO2策の普及を目指す。

全戸にマンション用エネファーム

 ブランズシティ品川勝島は、鉄筋コンクリート造、地上18階地下1階建て、3LDK~4LDKの分譲マンション。2015年7月末に竣工の予定だ。省エネの目玉として、総戸数356戸のすべてに、マンション向けエネファーム(家庭用燃料電池,発電出力0.75kW、熱出力1.08kW)を設置する。

 エネファームはこれまで、設置場所の確保や高層建築での耐震性、耐風性などの制約により、マンションへの導入が困難だった。マンション向けエネファームは、東京ガスとパナソニックが共同開発。気密性や脚部の強度を高めるとともに、強風時でも運転できる製品として2014年4月1日から発売している。

ブランズシティ品川勝島の外観(資料:東急不動産)

 マンション用は、パイプシャフト内に燃料電池ユニット、貯湯ユニット、バックアップ熱源機のすべてを設置できる仕様だ。それでも、1m四方程度のスペースを要する。設計の早い段階で設置位置を確定する必要があった。設計を担当した日建ハウジングシステム設計監理部の竹田堅一チーフデザイナーは「通常より大きなメーターボックスを住戸間口に納めるために、玄関扉、外廊下に面する居室の窓との干渉を考慮する必要があった」と話す。

 エネファームの採用などにより、CO2排出量は各戸当たり約49%削減でき、年間の光熱費も4万8000円程度節約できる見込み。マンション用エネファームの本体価格は非公表だが、1台当たり22万5000円は東京都の補助金で賄った。東急不動産ホールディングス広報・CSR推進部環境・CSR推進グループの松本恵課長補佐は「コストアップ分は、モデルルームでの顧客の反応を見ながら、ある程度は分譲価格に上乗せしていく予定」と説明する。

 専有部のエネファームによる創エネに加え、共用部では太陽光発電(出力30kW)も活用する。太陽光パネルと蓄電池やカーシェアリング用の電気自動車をマルチパワコンシステムで連携。クラウド型MEMSによってパワコンを制御し、ピークカットを実現する。夜間電力を蓄電池(容量10kWh)や電気自動車(蓄電池容量24kWh)に充電し、昼間の太陽光パネルからの電力と合わせて、共用部の照明や非常用エレベーターなどに供給する。