住宅街区全体で価値を高める

 当初、オガールタウンは、地元企業が建設を担当する数戸分の土地を確保したうえで、残りはすべて住宅デベロッパーに一括売却して開発を進める方針だった。しかし途中で方針を転換し、町が自ら土地の分譲を手掛けるという大きな決断を下した。

 オガール地区に建つ複合施設のオガールプラザ、オガールベース、そして町役場庁舎はいずれも木造を主とするプランで、町産木材を多く使って地元企業が施工を担当してきた。「同じ地区の住宅も同様のやり方で挑戦してみようということになった」と、紫波町企画課公民連携室長の鎌田千市氏は経緯を説明する。

 景観法に基づく「オガールタウン景観協定」も締結した(図5)。オガール地区全体で統一感を出すための「デザインガイドライン」とも整合性の取れた内容となっている。

図5  緑豊かで統一的な街並みをつくる景観協定(主な要素)
協定緑地は宅地の道路に面した一部を地権者が出し合う。大中小の異なるサイズの樹木を「協定樹木位置図」に沿って植栽、最初は町が景観協定に基づいて整備する。維持管理は地権者で組織する景観協定運営委員が行う。そのほか、統一デザインの門柱を立て常夜灯をともすなどのルールもある(資料:紫波町)

 景観協定では、地権者が分譲区画の3分の2以上になったら運営委員会を組織することになっている。それまでは町が事務を代行する。

 「地権者が皆で一体となって維持管理活動を精進できるかどうかで、オガールタウンの価値を持続できるかが決まってくる。最初は面倒くさがる人もいると思うが、エリアの価値を維持することが自分たち自身のためにもなるということを丁寧に説明していく必要がある」(紫波町オガールタウン調整会議委員長でアフタヌーンソサエティ代表取締役の清水義次氏)。