2013年度の改正に伴って、記述式試験に選択科目に関する「課題解決能力」を問うIIIの論文が新設されました。14年度も13年度と同様に二つの問題から1問を選択し、600字詰め用紙3枚以内に2時間で記述する形でした。

 出題内容は、日本技術士会の「平成26年度技術士第二次試験の内容について」と題した資料にも記されているように、「最新の状況」や「選択科目に共通する普遍的な問題」を対象としています。

人手不足に関連した出題が相次ぐ

 選択科目によって内容はやや異なりますが、14年度は昨今の人手不足に関連したテーマが相次いで出題されています。例えば「土質及び基礎」や「トンネル」では技術の伝承や継承を、「鋼構造及びコンクリート」では労働力などの不足を背景とした維持管理をそれぞれ取り上げています。

 巨大地震などの災害や耐震、老朽化や更新を出題テーマとした科目も少なくありませんでした。テーマ自体は「普遍的」でも時流を意識し、自身の選択科目との関連を踏まえて論述する必要があります。

 さらに、受験者が抽出した課題について解決策を提示した後に、課題や留意点といった「残存リスク」を記述するよう求める小問も、13年度に続いて多くの科目で見られました。小問の数も13年度とほとんど変わっていません。13年度の出題形式や設問の内容を踏まえて対策を講じていれば、難しいと感じるような問題は多くなかったはずです。

 もう一つの記述式である「専門知識と応用能力」を問うIIの論文に比べ、IIIの出題テーマはそれほど多岐に渡っているわけではありません。ただし、例えば維持管理は予算が増え、具体的な対応や運用が進み始めましたので、15年度以降もIIIの論文のテーマとして出題されるケースは減ってくる可能性があります。

 維持管理に向けた施策が具体化するのに伴って、IIの論文で出題される科目も出てくるでしょう。すでに「道路」では、14年度にIIの問題として出題されています。

 改正前にも、一般論文(建設一般)で出題されていたテーマがより具体的な専門論文に移行した例は珍しくありませんでした。先述した人手不足に関する出題も、具体策が増えてくるとIIの論文で出題されることが考えられます。

 15年度以降に想定されるIIIのテーマとしては、同じ防災や減災でも地震より豪雨災害の出題頻度が高まるように思われます。さらに、建設産業の国際展開やインフラ輸出もこれからのIIIの重要なテーマになりそうです。

 このように、IIIの課題解決能力を問う論文では、国の施策の方向性など、時流を常に意識しておくことが欠かせません。

 以下では「河川、砂防及び海岸・海洋」の14年度の出題内容について、もう少し詳しくみていきます。

13年度の「応用能力」のテーマを出題

 二つの問題のテーマは、III-1が老朽化や維持管理で、III-2は総合的な土砂管理でした。いずれも(1)~(3)の三つの小問に分かれており、(3)では「実行する際のリスク」や「想定されるマイナスの影響」といった「残存リスク」が13年度と同様に問われています。

 III-1の維持管理は13年度の「河川、砂防及び海岸・海洋」でも出題されましたが、II-2の主に応用能力を問う論文でした。先述した「道路」の科目とは逆のパターンです。出題文にも「幅広い視点から」とあるように、応用能力を示す際とは異なるレベルで記述しなければなりません。

 一方のIII-2の総合的な土砂管理は普遍的なテーマです。例えば「源流域から海岸域までの土砂管理」などとして、改正前の2003年度や08年度にも出題されました。

 土砂管理では河川の上流から下流までがトレードオフの関係にあり、河川や砂防、海岸・海洋の分野にそれぞれ影響してきます。各分野の専門性に配慮したのかもしれませんが、小問の(1)では領域ごとに記述する必要があります。

 以前から出題されてきた普遍的なテーマとはいえ、改正後は残存リスクの記述も求められるなど、受験者が得意とする分野で論じればよかった改正前に比べてやや難しくなったようです。自身の専門分野だけでなく、「河川、砂防及び海岸・海洋」全般に関わる諸問題を常に意識し、課題や解決策を整理しておきましょう。

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