2013年度の改正に伴って、「課題解決能力」を問う専門論文が新設されました。二つの問題から1問を選択し、3枚の用紙に2時間で論述します。出題内容を基に受験者が課題を抽出したうえで、解決策を示すパターンが中心です。

広い視野と専門性が問われる

 課題解決能力を問う論文は、もう一方の「専門知識と応用能力」を問う論文に比べて詳細な内容や具体的な実務経験を問うものは少なかったようです。

 出題テーマとしては、時流を踏まえて多くの科目が維持管理や老朽化のほか、地震などの災害について取り上げています。個々の内容も妥当なものが多く、難問や奇問の類いはありませんでした。ただし、選択科目によって差が見られます。

 例えば「都市及び地方計画」や「河川、砂防及び海岸・海洋」、「道路」などの計画系の科目では、改正前のように旬のテーマが中心で、12年度までの一般論文(建設一般)に近い内容の出題もあったことから、「想定どおり」と感じた受験者は多かったようです。

 他方、「土質及び基礎」や「トンネル」、「施工計画、施工設備及び積算」などの実務に深く関連している科目の受験者は、慣れない出題内容に戸惑ったとみられます。

 課題解決能力を問う論文は、それまでの一般論文を各選択科目の範囲に絞って、科目ごとの専門性をより高めた形になっています。さらに、広い視野から記述する必要もあり、実務系の科目ではこれまであまりなじみがなかった内容です。

 一般論文のように、出題範囲が「技術部門」(建設部門)全般にわたっているだけならまだしも、併せて専門性も問われており、書きづらかったと思われます。

 先述の計画系の科目も含め、問われ方に戸惑った受験者も多かったようです。例えば、課題解決策を提示した後に課題(残存リスク)や留意事項を記述するよう求める小問が、多くの科目で設けられています。12年度まではほとんど見られなかった設問です。このような切り口の出題に対して悩んだ受験者は少なくなかったでしょう。

 これは、2011年3月の東日本大震災を教訓に、「想定外」で総括するわけにはいかないという社会のニーズをくんだ設問とみられます。想定を上回る荷重や影響を受けた場合のことも技術者は念頭に置いて、設計や施工などに取り組むべきではないか。このような意図が出題の背景にあるように思います。

 さらに、「土質及び基礎」や「鋼構造及びコンクリート」、「都市及び地方計画」などの多くの科目で、その科目の「技術士として」述べるよう求めているのも13年度試験の特徴です。技術士像を明確にイメージしづらい科目の受験者は、苦労したはずです。

 以下では「施工計画、施工設備及び積算」の出題内容について、もう少し詳しくみていきます。

題意に沿った技術士像が不明確

 2問のうち、1問目のIII-1は老朽化や維持管理・更新がテーマで、12年度までの試験と同様に課題や解決策を論述するもの。もう1問のIII-2は労働災害の防止策などについて記述する問題です。

 いずれも時流を踏まえた妥当なテーマと言え、各小問も標準的な内容です。III-1の(1)では「維持管理・更新を行うという立場にある場合」を想定して述べる必要はありますが、類似の業務に携わった経験がなくても解答できるでしょう。とはいえ、書き方はかなり難しかったと思われます。

 2問とも「施工計画、施工設備及び積算の技術士として」答えるよう求めているからです。「土質及び基礎」や「鋼構造及びコンクリート」など、他の多くの選択科目でも見られた問い方です。

 しかし、「施工計画、施工設備及び積算」の受験者は他の科目の受験者以上に様々な仕事を手がけています。職種も多岐にわたっています。この題意に沿って論述しようとしても、適切な技術士像が不明確でイメージしづらいわけです。

 あまり深く考えずに一般論で記述しても問題はないと思いますが、どのような観点で書けばよいかと悩んだ人は多かったでしょう。

ここからは有料会員の登録が必要です。