2013年度の改正によって、「専門知識と応用能力」を問う専門論文の記述量は、12年度までの原稿用紙6枚から4枚に減りました。枚数が減ったとはいえ試験時間も短くなりましたので、時間が足りなくて書ききれなかった受験者も少なくなかったようです。

 しかも、12年11月の試験部会で示された「出題数は解答数の2倍程度を目安とする」といった方針を受け、多くの科目で出題数が改正前に比べて減少しました。結果、受験者の専門性によっては問題を選択することさえ難しい科目も見られます。

2問を選べなかった受験者も

 「専門知識と応用能力」を問う専門論文の場合、13年度は問題がII-1と2の2種類に分かれました。II-1は四つの設問から2問を選び、それぞれ1枚以内にまとめる問題。もう一つのII-2は、二つの設問のうちの1問に2枚以内で解答するものです。

 4問から2問を選ぶII-1の設問は、主に専門知識の有無を尋ねています。多くの科目で具体的な内容について問われており、対象となる分野も広い範囲にわたっています。各設問は多くが標準的な内容ですので、4問から1問を選ぶのであれば解答できたでしょう。

 しかし、2問となると厳しく、これだけ広範囲の専門知識をカバーしている受験者は少なかったと思われます。結果、2問を選ぶことができずに1問は白紙の状態だった人も珍しくなかったようです。

 科目による偏りも見られます。例えば12年度までは出題数が多く、それぞれの専門性によって選択できた「トンネル」や「施工計画、施工設備及び積算」などの受験者は特に難しいと感じたはずです。

 この傾向が14年度以降も続くとすれば、記述式試験の基礎となる専門知識の幅を広げなければなりません。特に「土質及び基礎」や「トンネル」などの実務に深く関連した科目の場合は、技術士第一次試験並みの勉強が必要になるかもしれません。

 もう一つの2問から1問を選ぶII-2の設問は、専門知識に対する内容も含まれていますが、主に実務経験に基づく応用能力について尋ねています。こちらも、科目によってばらつきが見られます。最も厳しかったのが、出題の対象範囲が狭くて詳細な内容を問われた科目です。

 例えば「土質及び基礎」や「道路」の場合、2問のいずれにも実務経験が必要で、机上の勉強だけでは難しかったと考えられます。しかも、「道路」の1問目は「交差点改良計画の担当」と明示され、もう1問は施工に関連した設問でした。解ける問題がなく、お手上げとなって白紙で提出した人もいたようです。

 一方、記載しやすかったのが、設問の内容が抽象的で解答に幅がある科目です。例えば「建設環境」の1問目は希少種がテーマであり、想定した希少種などから一つを挙げて書けばよい問題です。2問目のテーマは生活環境ですが、騒音や振動などを受験者が選んで論述できる形になっています。

 このように、12年度までは科目ごとで異なっていた出題数が2問に統一された結果、II-2では、狭い範囲を具体的に問う科目と広い範囲を抽象的に尋ねる科目、それらの中間に位置する科目とが混在しています。出題数の減少が大きく影響したと言えそうです。

 なお、記述式試験の合否判定基準は合計で60%以上となっています。これらの専門知識と応用能力を問う論文で記載する合計4枚のうち、半分程度が白紙でも、もう一方の「課題解決能力」を問う論文で高得点を取ることができれば合格は可能です。

 以下では「都市及び地方計画」の13年度の出題内容について、もう少し詳しくみていきます。12年度までは、I-1グループの2問から1問とI-2グループの6問から1問をそれぞれ選んで解答する形でした。

「担当責任者」として書くのは困難

 II-1の4問は景観や密集市街地、都心部における交通計画、生物多様性をテーマに、特徴や課題解決策、留意点などをそれぞれ述べる内容になっています。

 詳細な内容について問うものが多く、例えば1問目のII-1-1は、景観形成に資する制度から各項目に該当するものを一つずつ挙げて特徴を説明するものです。さらに2問目では、課題や解決策に加えて公的賃貸住宅の役割も述べなければなりません。

 3問目の内容も同様に具体的で、都心部の複合開発に関する交通計画で考慮すべき事項や対応策を、二つの視点ごとに説明する必要があります。

 ほとんどが、4問から1問を選んで2枚にまとめるレベルの問題と言え、出題内容が細かすぎる印象を受けます。2問を選んでそれぞれ1枚に論述するのは容易ではなく、1問しか選択できなかった受験者が多かったと考えられます。

 2問から1問を選ぶII-2も、対象とする範囲が狭いようです。1問目は都市計画の変更の必要性を検証する際の背景や留意事項などを、もう1問のII-2-2は中心市街地の活性化をテーマに課題や解決策などをそれぞれ記述する内容です。(1)~(3)の三つの小問に分かれています。

 いずれのテーマも、一般論としては多くの受験者が記載できると思いますが、2問とも「担当責任者」として述べるよう求めています。その結果、かなり具体的に答える必要があり、実務を経験していないと簡単には書けないはずです。

 これらの設問のように記述する際の立場を指定するのであれば、各受験者がそれぞれの専門分野を選べるような形にしないと難しいでしょう。

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