建設部門の2012年度の出題内容は、11年度と同様に難問や奇問はなく、標準的な問題が多くを占めています。出題の数や傾向にも大きな変化は見られませんでした。

 「道路」や「河川、砂防及び海岸・海洋」などの計画系の科目は時流を意識した出題が12年度も続き、工学的な知識をベースにした「土質及び基礎」などの科目は過去の問題と類似したものが見られます。ただし、科目によって難易度に差が生じてきたようです。

 例えば「道路」や「鋼構造及びコンクリート」は標準的な問題が中心で、簡単と感じた人も多かったのではないでしょうか。

 一方、難しくなったと思える科目も少なくありません。これまでも実務経験を重視する傾向にありましたが、12年度はその傾向がさらに強くなった印象を受けます。一般論で答えられる問題が減り、特定の条件や数値などを基により具体的なテーマで出題されています。

 例えば「河川、砂防及び海岸・海洋」では、流域面積の数値を示して尋ねています。「都市及び地方計画」でもテーマを絞って特定の課題を設定したうえで、専門知識と応用能力をそれぞれ見極めようとしています。

 特に「トンネル」は図がより詳しくなり、図に盛り込まれる要素も増えました。トンネルの設計や施工の経験があるだけでは不十分で、類似工事に携わった人でないと簡単には論述できないでしょう。

 12年度は維持管理に関する出題が例年よりやや増えたようです。道路などの多くの科目で問われています。耐震設計や耐震診断の出題も複数の科目で見られますが、11年度のように東日本大震災を直接踏まえた出題は減少しています。

 以下では「建設環境」の出題傾向について、もう少し詳しくみていきます。

“定番”のテーマでも新しい視点で論述

 建設環境では、Aグループから1問とBグループから1問の合計2問を選択する形式が採られており、12年度も同様でした。問題の数も合計10問で変わっていません。一方、出題の分野や範囲は11年度までとやや異なっています。

 例えば、Aグループの1問目で出題された建設リサイクル。従来は、個別の環境要素を対象により高い専門性を問うBグループで出題されてきたものです。リサイクルのテーマ自体は新しくありませんが、Aグループでは環境施策の最新事項に対する基礎知識や動向が問われます。リユースへの取り組みなど最近の話題を基に論述することで、新しさを表現する必要があります。

 Aグループの2問目は生物多様性に関する問題です。2010年に名古屋市で開かれたCOP10以降、ますます関心が高まってきた点を受けて出題されたものと思われます。

 この2問目は12年度の建設一般(一般論文)の出題と重複しており、一般論文と同じような論文を書いた人もいるようです。しかし、専門論文では「専門知識と応用能力」が求められていますので、一般論文とは異なる視点で論述しなければなりません。

 Bグループは、12年度も従来と同様に道路や河川、鉄道など受験者の専門分野に応じて選択できる形になっています。3問目の道路環境をはじめ、緑地や都市の環境、鉄道、港湾など、7問目まではいずれも11年度までとほとんど変わっていません。

 8問目は、これまで火力発電や原子力発電についてよく問われていたものです。昨今の社会情勢から原子力発電では出題が困難なこともあり、12年度は風力に変わったものと推察されます。10問目はこれまで主に湖沼を対象とした問題でした。12年度は河川の浄化について取り上げています。

 いずれの問題も難易度は例年並みでしたが、実務経験がなければ解答は困難でしょう。さらに、建設環境の問題は社会情勢を意識してつくられている点に注意し、出題テーマが目新しくなくても時流をよく読んで準備し、執筆することが欠かせません。

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