2011年度の技術士第二次試験のうち、建設部門の受験申込者数は1万8898人、受験者数は1万4354人でした。東日本大震災の影響もあり、いずれも10年度より減っています。

実務経験を問う傾向が強まる

 建設部門の2011年度の出題内容を見ると、その科目の実務に携わっている人にとっては昨年度より簡単になった印象を受けます。逆に言えば、経験が乏しい科目の場合、机上の勉強だけでは合格が難しい傾向が強くなっています。

 昨年度も標準的な問題が多かったにもかかわらず、合格率は低迷していました。会社の方針で、あまり得意ではない科目を受験している人も珍しくなく、受験者がどの程度、自身の実務や経験に合った科目を選んでいるかで合格率は大きく変わります。難易度がやや低下したとはいえ、それが合格率の向上につながるとは必ずしも言えないわけです。

 例えば、「土質及び基礎」や「トンネル」などのように、図や数値がかなり具体的に示された問題が目立ちます。それらの実務を日ごろ担当している人にとっては、日常の業務の内容を書けばよいので、それほど難しくなかったと思います。「鋼構造及びコンクリート」のうちのコンクリートも難問奇問はなく、オーソドックスな問題ばかりでした。

 2011年度の特徴の一つとして、震災後を意識した出題が目についたことが挙げられます。東日本大震災を直接、取り上げた問題は多くありませんでしたが、地震後の構造物の点検・診断方法や耐震診断について、ほとんどの科目で出題されています。地震に関連した問題が2、3問出された科目もありました。ただ、いずれも実務を経験した人にとっては難しい問題ではなく、答えることができたと思います。

 地震以外でも時流を意識した問題は少なくありませんでした。最近は水害に加えて新燃岳(しんもえだけ)の噴火や土石流などが相次いだことから、「河川、砂防及び海岸・海洋」では、これらの自然災害を対象とした問題が特に目立ちました。

 基本となる専門知識を問う出題も依然として少なくありませんが、建設分野に関連した最新の話題を押さえておくことがこれからますます必要になるでしょう。以下では、「施工計画、施工設備及び積算」の出題傾向について、もう少し詳しくみていきます。

「施工計画らしい」問題が増加

 「施工計画」は計15問から2問を選ぶ形式が続いており、2011年度も変わっていません。出題分野もコンクリートや安全管理、市街地の掘削工事、橋の架設計画、原価管理、入札・契約方式などを対象としており、これまでとほとんど同じでした。他の科目のように、震災に関連した問題は出題されていません。

 出題分野が従来と同じでも、設問の内容には変化が見られます。例えばコンクリートの場合、昨年度までは劣化の進行などコンクリートの性状がわかっていないと解けない問題があり、必ずしも施工計画の問題としてふさわしくないものが見られました。

 それが、2011年度は鉄筋工や型枠工も含めたコンクリートの品質管理を問う形に変わりました。建設現場で実施している内容を記述すればよく、施工に携わる技術者が選びやすくなったと言えます。他の問題でも、土留めの一般的な留意点などを問う形になり、施工計画らしい問題が増えてきたと思います。

 施工計画の問題は、いずれも建設現場の経験がないと答えられないものばかりですが、それぞれの分野の専門家にとってはオーソドックスな問題で、難しくなかったはずです。中でもコンクリートの問題が本来の施工を意識した形に見直されたことは大きな変化で、合格率にも影響しそうです。

 ただし、施工計画の科目の受験者は建設会社などに勤務する技術者が多く、論文の執筆を苦手とする人が少なくありません。出題の内容や解答がわかったとしても、執筆が課題で不合格となる人が毎年、多く見られます。

 さらに2011年度も、施工に関連したトラブル例を基に対策方法などを述べる問題が多く見られました。問題の(1)で専門知識を、(2)で応用能力をそれぞれ問うパターンです。専門知識と応用能力とを明確に分けて問う形は、2007年度に試験制度が変わってから続いています。

 パターンは同じでも、問題で例示されるトラブルは各年度で異なります。施工計画の問題が対象とする範囲は広く、受験者が選べる問題は15問のうちの2、3問くらいですので、トラブル例も同様に2、3の例を用意して覚えておくとよいでしょう。

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