建設部門の2011年度の出題内容を見ると、その科目の実務に携わっている人にとっては昨年度より簡単になった印象を受けます。逆に言えば、経験が乏しい科目の場合、机上の勉強だけでは合格が難しい傾向が強くなっています。

 昨年度も標準的な問題が多かったにもかかわらず、合格率は低迷していました。会社の方針で、あまり得意ではない科目を受験している人も珍しくなく、受験者がどの程度、自身の実務や経験に合った科目を選んでいるかで合格率は大きく変わります。難易度がやや低下したとはいえ、それが合格率の向上につながるとは必ずしも言えないわけです。

 例えば、「土質及び基礎」や「トンネル」などのように、図や数値がかなり具体的に示された問題が目立ちます。それらの実務を日ごろ担当している人にとっては、日常の業務の内容を書けばよいので、それほど難しくなかったと思います。「鋼構造及びコンクリート」のうちのコンクリートも難問奇問はなく、オーソドックスな問題ばかりでした。

 2011年度の特徴の一つとして、震災後を意識した出題が目についたことが挙げられます。東日本大震災を直接、取り上げた問題は多くありませんでしたが、地震後の構造物の点検・診断方法や耐震診断について、ほとんどの科目で出題されています。地震に関連した問題が2、3問出された科目もありました。ただ、いずれも実務を経験した人にとっては難しい問題ではなく、答えることができたと思います。

 地震以外でも時流を意識した問題は少なくありませんでした。最近は水害に加えて新燃岳(しんもえだけ)の噴火や土石流などが相次いだことから、「河川、砂防及び海岸・海洋」では、これらの自然災害を対象とした問題が特に目立ちました。

 基本となる専門知識を問う出題も依然として少なくありませんが、建設分野に関連した最新の話題を押さえておくことがこれからますます必要になるでしょう。以下では「土質及び基礎」の出題傾向について、もう少し詳しくみていきます。

土質の原理や式を知っているだけでは解けない

 「土質及び基礎」は2011年度も昨年度と同じ11問の出題で、出題形式もそのうちの2問を選択するパターンで同じでした。これまで見られなかった問題としては、斜面安定に関するフロー図を示し、図のブランクの部分を埋める問題が初めて出たことです。

 残りの10問は昨年度と同様、スタンダードなものでしたが、条件設定がより細かくなり、図面や数値も具体的に示して問う傾向にあります。論文の枚数も細かく指定されています。その分、解答の幅が狭まり、合否がはっきりするようになりました。問題の内容が細かくなったので、実務者には逆に解答しやすくなったと思います。

 土質及び基礎では、ほとんどの問題に三つの設問が設けられており、1問目で専門知識を、2問目と3問目で応用能力をそれぞれ問うパターンが中心です。2問目と3問目の答えは教科書には載っていないものが大半で、土質などの原理や式を知っているだけでは解けません。実務に携わっていれば経験を基に答えられるでしょう。

 震災に関連したものとしては、河川堤防の液状化や耐震診断、下水道の地震対策や管きょの耐震設計などが出題されました。東日本大震災とは明記していませんが、現実の震災を想定したものと思われます。

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