戦前は横浜随一の繁華街として栄え、1970年代末には歩行者モール化の成功事例として名を馳せた老舗商店街、伊勢佐木町。近年地盤沈下が進んでいたが、今年5月に商店街が建て主となった施設が完成し、今までとは違う客層を引きつけている。そこには横浜市が委託したNPO法人(特定非営利活動法人)の提案を認めず対案をまとめた、商店主たちの底力があった。

 2010年5月のオープン以来、毎週末、売り出し中のミュージシャンや地元のバンドがライブを繰り広げる「CROSS STREET(クロスストリート)」。横浜市中心部の伊勢佐木町商店街が建て主となり、地域活性化のための補助金を活用した施設だ。バンド目当ての客はもちろん、街行く人の足も止め、新たなにぎわいを生み出すことに成功した。周囲では売り上げが増えた店舗もあるという。

商店街側から「CROSS STREET」の外観を見る。大きく反り上がった形状は、テント小屋をモチーフにしている。最高高さは約6.5m。商店街が所有する駐車場の一角に建つ(写真:高瀬 信夫)

 設計を担当したのはSALHAUS(サルハウス、東京都渋谷区)。木造の空間を開放的なガラス張りとした。「ストリートとライブハウスの中間の体験」「通りがかりにふらりと聞ける」など、演奏を体験したミュージシャンや観客の反応はおおむね好評だ。

音楽イベントで人を集める

 伊勢佐木町は古くは青江三奈のヒット曲、近年ではフォークデュオ「ゆず」がアマチュア時代に路上ライブをしていた地としても知られ、音楽とは縁が深い。商店街でも定期的に路上での音楽イベントを開催し、人を集めてきた。クロスストリートという施設名はゆずが名付け親だ。7月には、6年半ぶりとなる伊勢佐木町でのライブが同施設内で実現した。

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