交差点に面した建物を北西方向から見る。白い鋼板壁の仕上げ壁厚は最大で238mm。「もし鉄筋コンクリート造にしていたら、壁厚は350mmになっていた」と安原氏は言う (写真:西川 公朗)

 大阪市の中心部を南北に走る四つ橋筋の交差点角に2010年1月、高さ約30mの細長い曲面の壁が印象的なオフィスビルが完成した。鉄骨造で地上9階建て。1、2階を店舗、3~9階を貸し事務所として利用する。

 敷地面積は約107m2。住宅を建てるような大きさしかない。「ペンシルビルで何ができるのかを考えた」。設計したSALHAUS(東京都渋谷区)の安原幹氏はこう振り返る。

 小さな敷地に建てたペンシルビルはレンタブル比が悪くなる。細長い建物を構造的に成立させるために、柱や梁などの躯体寸法が大きくなるきらいもあった。

 「この建物で通常の柱梁構造を採用すると、断面が約50cm角の柱が現れる。家具などの配置が制約を受けるのは明らかだった」(安原氏)。そこで提案したのは、薄い鋼板壁で建物全体の構造を成立させる方法だ。

 鋼板壁は、内部の縦方向と横方向に設けたリブを、厚さ9~19mmの鋼板で両側から挟み込んだ中空構造になっている。鋼板壁の厚さは168~188mm。その表面に厚さ15~25mmのセラミック系耐火被覆材をこて塗りし、仕上げ壁厚を最大で238mmに抑えた。さらに、屋外側はアクリルゴム外壁化粧防水、室内側は水性塗料による塗装を施した。

室内からの眺望。道路に面した北側と西側にガラスカーテンウオールを配置した。柱がなくすっきりとした印象だ。各階のオフィス専有部分の面積は約75m2 (写真:西川 公朗)

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