景観への配慮などを条件に、京都市景観・まちづくりセンターと都市居住推進研究会が2006年に実施した「京都まちなかこだわり住宅」の設計コンペ。最優秀賞提案を基にしたモデル住宅が2007年4月に完成した。設計者は「現代京都都市型住居研究会」のメンバーである魚谷繁礼氏、正岡みわ子氏、池井健氏の3人だ。魚谷氏らの案内のもと、6月17日にオープンハウスへ参加した。

京北産の杉をふんだんに利用した縦格子が目を引く。建物内部からは外がよく見えるが、道路から室内の様子をうかがえないようになっている
京北産の杉をふんだんに利用した縦格子が目を引く。建物内部からは外がよく見えるが、道路から室内の様子をうかがえないようになっている(写真:日経アーキテクチュア)

 モデルハウスは木造2階建てで、伝統的な京町家を思わせる縦格子で外観を統一。集合して建ち並ぶ状況を想定して、設計に取り組んだ。公共空間(オモテ)である道路側の壁面線をそろえて街並みを整える。敷地の奥(ウラ)には庭を設け、隣家と庭が連続し、通風や採光、景観を共有する仕組みを取り入れた。

魚谷氏(左)と池井氏(右)。コミュニティーを成熟させるには、「オモテとウラ」をつくりだすような建物の配置が望ましいという(写真:日経アーキテクチュア)
魚谷氏(左)と池井氏(右)。コミュニティーを成熟させるには、「オモテとウラ」をつくりだすような建物の配置が望ましいという

 京都では近年、屋外駐車場の増加などでオモテの空間が不揃いになり、旗ざお形の敷地が増えたことなどでウラの空間が消えつつある。建て替えの際に街並みの美しさを取り戻し、道路から隔絶した安全なコミュニティーとして敷地の奥庭を活用する――。オモテとウラを一体に考えて、魅力的な住宅と街並みを作り出すのが設計のコンセプトだ。

◆next:次ページではいよいよ住宅内部へ

ここからは有料会員の登録が必要です。