ドイツ・ポツダムで進行中の大規模団地改修プロジェクト「ガーデンシティ・ドレヴィッツ」をリポートする。前編では、(1)建築分野(2)エネルギー分野について解説した。後編は、(3)交通分野(4)都市計画分野に焦点を当てる。団地再生に悩む日本でも参考になる事例だ。(編集部)

(3)交通分野

 交通分野における主要な課題は、「自動車に頼らない、歩行者を優先した街づくり」である。ドレヴィッツ地区では、路面電車の駅に面した部分に共同駐車場を設け、地区内では歩行者や自転車を優先させている。

 自動車は速度30km/h以下での走行が義務付けられている。実際に現地を訪れると、地区内を走行する自動車が非常に少ないので、街が静かに感じる。

 信号機はあるものの、ほとんどが点灯していない。10分に1本程度の路面電車が通過するときのみ赤信号が点灯し、それ以外の時間は消えたままだ。自動車が少ないからこそできることだろう。大通りが公園のようになっていることもあり、街を歩くと歩行者が優先されている安心を感じることができる。

地区内の自動車道、路面電車、歩行者が通過する交差点。自動車は速度30km/h以下の走行に制限されており、常に歩行者優先のため、信号機は路面電車が通過する時のみ点灯する(写真:金田真聡)
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 建物を改修するより先に、中央通りの整備を進めている。歩行空間や自転車専用レーンの整備、バリアフリー化も行き届いている。

 ドレヴィッツには、ポツダムの中心部につながるバスとトラムの公共交通がある。その停留所は最も離れた住宅との距離が400m程度で、徒歩でも問題のない距離に設けている。

 同じく徒歩圏には、日常に必要な学校、保育園、病院などもある。地区内を循環するミニバスを整備することで、さらに自動車交通を減らしていく狙いだ。実際、地区内の居住者の自動車保有率は年々下がっている。

1998年当時のドレヴィッツ地区。現在は公園化した線路脇のコンラッドヴォルフ通りが、当時は駐車場として利用されていたことがわかる(資料:Landeshauptstadt Potsdam)
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現在のドレヴィッツ地区。かつて道路と駐車場が占めていた線路脇のコンラッドヴォルフ通りは、公園化して歩行者専用となっている。車道は通りの両脇に移設し、低速での走行を義務付けている。写真の右手前は、トラムの停留所に隣接した共同駐車場(資料:PROJEKTKOMMUNIKATION Hagenau GmbH)
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