米国では、体調不良の原因や治療方法を探す場合、SNSや動画共有サイトを通じて同じ症状を持つ人同士でコミュニティを作り、情報交換し合う動きが活発になってきている。こうした集合知(Crowd-sourcing)の利用はSNS時代ならではの動きである。ただ、医療の専門家が参加していないことから、やり取りされる情報の信頼性に懸念を投げかける声も根強い。こうした人向けには、医療専門家によるWiki(Web上でのコンテンツ編集・管理システム)で成り立つ健康管理サービスも人気を集めている。

医療系SNS、動画も登場~体験を共有する

 すでに米国で、ネットで個人の健康情報を管理するPHR (個人健康記録)とSNSを融合させた医療系コミュニティとして人気が定着しているのはマサチューセッツ州に拠点を置くPatientslikeme.comである。ここでは、頭痛や腹痛といった症状や、うつ病やパーキンソン病といった疾病名から、同様の体調不良を抱える人たちのコミュニティを探し、摂取する薬選びの参考にしたり、自分の症状や治療法をシェアしたりすることができる。参加は無料で、自分の名前や電子メールアドレスを入れて登録するだけでよい。

 積極的に自分の健康状態を記録しコミュニティでシェアしたい場合には、生年月日や性別、身長、体重といった基本情報を登録し、日常的に抱える症状や医薬品・ビタミン剤などの摂取状況、副作用、気分、運動状況などについて、あらかじめ用意された質問に答えて自分のプロフィールを作ればよい。自分と同じような症状を抱える患者を見つけたら、励ましのコメントを残したり、フォロワーになってその人の体調のアップデートを入手したりすることもできる。

自分の健康状態にあてはまるコミュニティを探してつながりを広げていく(Patientslikeme.comより提供)
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 こうして蓄積されたプロフィール情報がこのサイトの健康管理データベースとなり、例えば頭痛を何とかしたいと思った利用者が「頭痛」と検索すると、頭痛時に摂取する薬のランキングが出てくる。あるいは自宅に非ステロイド系消炎鎮痛剤であるAdvilがあるものの、これが頭痛にも効くのかどうかを調べたい場合でも、Advilで検索すれば、その用途、副作用に加え、利用者がその薬を採る際の痛みの強さや摂取量、頻度、摂取量に応じたコスト、薬の持続時間などが一覧できる。これらはすべて利用者がAdvilを摂取した経験に基づくデータからはじき出されており、利用者の評価コメント、あるいは利用をやめた理由などの一覧もチェックできる。

 患者同士が自分の治療体験をシェアするサイトには、動画版も登場し、注目を集めている。サウスカロライナ州に拠点を置くicyouは、健康管理法や疾病管理法、治療経過の記録、オリジナル食事レシピなど、ヘルスケア全般を網羅する投稿ビデオサイトを運営する。

興味のある症状や疾病を選び(左。例では「心臓病」)、関連性でヒットしたほかの患者や医療専門家のビデオを選んで見る(右)(icyouより提供)
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 最近では医療専門家や大学機関などが、健康管理のアドバイスやインフルエンザ対策などについての教育ビデオを投稿するケースも増えていることから、同社は、icyouについて、患者から医療プロバイダーまでみんなが使える「動画ライブラリ」だと表現する。ビデオは投稿も閲覧も無料で、iPhoneでも無料アプリがダウンロードできる。投稿ビデオなので画質にばらつきはあるが、風邪や頭痛から生活習慣病やHIVに至るまで取り扱い範囲は広く、閲覧したビデオにコメントを残すこともできる。

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